事業を通じた
社会貢献

東ソーグループは、化学の力で社会課題を解決し、持続可能な社会づくりに貢献することを目指しています。
そのため、環境負荷の低減や生活の質向上に役立つ製品や技術の開発・普及を進めています。

社会課題ソリューション

当社グループは、企業理念「私たちの東ソーは、化学の革新を通して、幸せを実現し、社会に貢献する。」に示されているように、社会課題の解決に貢献する事業の展開を通して、持続的な成長を目指すとともに、すべてのステークホルダーに信頼され、社会から必要とされる企業であり続けることを目指しています。国連で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」を重要な指針として捉え「社会に役立つ製品づくり」を通して、持続可能な社会の実現に貢献していくことが使命であると考えています。こうした考えのもと、「環境負荷の低減」と「QOLの向上」といった社会課題の解決に貢献する当社グループの製品・技術・サービスを「社会課題ソリューション」として自社で認定し、その開発や普及を促進しています。

小項目:環境、QOLに貢献する製品・技術の創出・提供

KPI(重要管理指標) 2025年度目標 2025年度実績 2026年度目標 2027年度目標
「社会課題ソリューション」認定件数 2件以上 2件 4件以上/2ヵ年 6件以上/3ヵ年

「社会課題ソリューション」の認定要件は、Ⅰ.社会課題解決への貢献とⅡ.企業価値の向上と持続的な成長への貢献です。前者は、当社が社会課題解決への貢献を目指すうえで重要な指針としていることから、SDGs17のゴールを達成するための具体的目標である169のターゲットを認定要件に設定しました。また、後者は、社会課題ソリューションが、社会課題解決のみならず、企業価値の向上と持続的な成長への貢献と考え、上市した製品かつその事業が継続することでSDGsに貢献し続けることを認定要件と定めました。

認定要件
Ⅰ.社会課題解決への貢献 ● SDGs169ターゲットへの貢献
Ⅱ.企業価値の向上と持続的な成長への貢献 ● 社会への提供(上市製品)
● 事業の継続性

事業部門・事業所・事業会社から提案された製品について、サステナビリティ推進連絡会で審議し、その後、サステナビリティ推進委員会、取締役会に報告し、認定されます。

東ソーグループのGHG排出量の削減と目標

東ソーグループの製品・技術の社会への提供を通じた製品ライフサイクル全体でのGHG排出削減貢献量

「社会課題ソリューション」は、「環境負荷の低減」と「QOLの向上」に貢献する製品や技術です。これまでの「社会課題ソリューション」認定の25件に加え、第4回は2件が認定され、27件になりました。

項目 対象とする社会課題
環境負荷の低減
  • ● 省エネルギー
  • ● 有害物質・VOC削減
  • ● 再エネルギー
  • ● 廃棄物削減
  • ● 創エネルギー
  • ● 生態系保全
  • ● 蓄エネルギー
  • ● 水保全
  • ● GHG排出量削減
  • ● リサイクル
QOLの向上
  • ● インフラ
  • ● 健康と医療
  • ● 食料
  • ● 災害対策

社会課題ソリューション事例

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ソーシャルインパクト

「私たちの東ソーは、化学の革新を通して、幸せを実現し、社会に貢献する。」という企業理念を掲げ、化学製品の提供を通じて社会の持続的な発展へ貢献してきました。今後も貢献度を高めていくため、当社のチェーン事業から生み出される製品が社会に与える影響について、ソーシャルインパクトという形で整理しました。これまで対象としてきた基礎素材に加え、2025度は付加価値素材についても対象を拡張し、チェーン事業全体での価値創出の姿を示しています。

チェーン事業から生み出される製品とは

当社のチェーン事業は、食塩電解やナフサ分解を起点としたプロダクトチェーンにより、基礎素材から付加価値素材まで多様な製品を生み出しています。これらの製品は、産業基盤や人々の暮らしを支えるとともに、社会課題の解決にも貢献しています。本レポートでは、チェーン事業の以下の2区分における代表的な製品を取り上げ、それぞれの社会的価値を可視化しています。

基礎素材

産業や社会の基盤を支える素材であり、幅広い用途で使用される不可欠な製品です。代表的な基礎素材として、エッセンシャルプロダクト3製品(苛性ソーダ、VCM、イソシアネート)を対象に、その社会的インパクトを整理しています。

付加価値素材

基礎素材に機能を付加することで、高い性能や特性を発揮し、特定用途において社会課題解決に貢献する製品群です。新たに合成ゴムおよびエチレンアミンを対象に追加し、モビリティ、環境・エネルギー、生活関連分野などにおける社会的価値を可視化しています。

合成ゴム

用途:
自動車ゴム部品、医療用ゴム手袋、接着剤
などの多分野で使用

エチレンアミン

用途:
エポキシ樹脂硬化剤、紙力増強剤、キレート剤などの多様な用途で使用

ソーシャルインパクトの評価の背景

当社のチェーン事業から生み出される製品は、産業や人々の暮らしを支えるさまざまな用途で使用されています。これらの製品は主に川上に位置するため、社会への価値が直接見えにくいという特徴があります。そのため、製品が使用される川下の用途を洗い出し、アウトプット・アウトカム・インパクトの観点から社会的価値を整理しています。これまで対象としてきた基礎素材に加え、2025年度は付加価値素材についても対象を拡張し、チェーン事業全体での価値創出の可視化を進めています。

ソーシャルインパクトの評価の方法

ロジックモデル作成を通してソーシャルインパクトを評価しました。ロジックモデルのフレームワークとして、川下での用途(当社製品を用いて製造される素材・製品)をアウトプットとして整理し、それら用途のアウトカムと社会へのインパクトを特定しました。そのうえで、一部の主要用途についてアウトカム・インパクトの定量化を始めました。

用語の定義

アウトプット

事業活動を通じて提供される製品・サービスの川下での用途

アウトカム

製品・サービスが川下で利用された結果、ステークホルダーへもたらす便益・効果

インパクト

アウトカムが継続的に生み出されることで、経済・社会・環境へもたらす価値

基礎素材の供給を支える当社の経営資源 / 強み

当社は、プロダクトチェーンの構築と、ポートフォリオ経営により、低コスト・低環境負荷での製造と安定供給を実現し、持続的な新製品開発を進めることを強みとしています。

付加価値素材の供給を支える当社の経営資源/ 強み

南陽事業所を中心とした製造基盤と、長年にわたり蓄積してきた製造技術・顧客関係・組織連携を背景に、付加価値素材の安定供給と差別化を実現しています。
複雑な製造プロセスを安定的に運転する操業ノウハウと、研究・製造・営業が連携した製品開発体制により、高機能素材を幅広い産業分野へ供給しています。

強みの源泉(経営資源・マネジメントシステム)

ロジックモデル

当社製品の多くは、川上の素材・製品製造に用いられ、川下での用途は多岐にわたります。ソーシャルインパクトの可視化にあたり、まずはアウトプットを洗い出しました。洗い出した用途ごとにアウトカム・インパクトを特定し、ロジックモデルとして下図のように整理しました。用途が多岐にわたるため、主要用途、主なアウトカム・インパクトを抽出して記載しています。

苛性ソーダ

苛性ソーダのアウトプットはモビリティ、エネルギー、ヘルスケア、日用品などの多分野にわたります。生産プロセスで大量のエネルギーを必要とする一方で、車体の軽量化、電化の推進や再生可能エネルギーの普及などのアウトカムによってGHG排出量削減にも貢献しています。

塩ビモノマー(VCM)

VCMは塩ビ樹脂(PVC)の原料として用いられます。PVCは熱可塑性樹脂であり、加熱し目的の形に成形することで、日用品、医療品、建築資材などに幅広く用いられています。特に農業用フィルム、水道パイプライン、食品保護フィルムなど、人々の安全な食糧へのアクセスを支える重要な役割を担っています。

イソシアネート

イソシアネートはウレタンの原料として用いられます。ウレタンは断熱材(建材、冷蔵庫用など)、合成皮革、スパンデックス(弾性繊維)として、身の回りの日用品に幅広く活用されています。日用品以外にも木質ボード製造のための硬化剤やトンネル施工時の岩盤固結剤にも用いられるなど、人々の基本的な生活と産業に欠かすことのできない素材です。

合成ゴム

合成ゴムは、耐候性、耐オゾン性、耐油性、耐薬品性、難燃性などに優れており、自動車ゴム部品、各種工業用ゴム製品、接着剤など、さまざまな分野で広く利用されています。現代の産業や日常生活において重要な役割を果たす不可欠な素材です。

エチレンアミン

エチレンアミンは、主にエポキシ硬化剤、紙力増強剤、重金属処理剤などの多様な用途に使用されています。モビリティ、環境・エネルギー、生活・ヘルスケア、産業基盤・素材、インフラ・建築など多分野で広く使われており、私たちの身の回りのさまざまな製品の品質を向上させ、生活を便利にする役割を果たしています。

ソーシャルインパクトの試算

「苛性ソーダ」「VCM」「イソシアネート」「合成ゴム」「エチレンアミン」のアウトプットについて、特定したアウトカム・インパクトの定量的な試算に取り組み始めました。今後も、試算を通じて当社の製品が与えるインパクトを定量的に可視化するとともに、事業活動を通じたインパクト拡大に向けた取り組みを検討・推進していきます。

製品 アウトプット アウトカム インパクト 試算・分析項目
苛性ソーダ リチウムイオン電池
(電気自動車の車載電池)
  • 電化によるGHG排出量削減
  • 自然災害抑制などによる経済効果
  • GHG排出量削減
  • 自然災害抑制などによる経済効果
アルミニウム
(自動車の車体)
  • 輸送機の軽量化による燃費向上・GHG排出量削減
  • 自然災害抑制などによる経済効果
  • GHG排出量削減
  • 自然災害抑制などによる経済効果
VCM 農業用フィルム
(軟質塩ビ)
  • 農地の生産性向上
  • 安価な食品の普及
  • 食糧へのアクセス向上
  • 生産可能なビニールハウス延面積
PTP
(薬剤包装シート)
  • 健康・医療サービスの質向上
  • 健康寿命の延伸
  • 流通量に占める当社の薬剤包装シートの使用比率
イソシアネート 木質ボード
(接着剤の硬化剤)
  • 有害なホルムアルデヒドの放散量削減
  • 木材の有効活用による省資源化
  • 木の小片の有効利用による森林保全
  • 大気汚染抑制による経済効果
  • 木質ボードの生産量(森林面積換算でも試算)
  • 炭素貯留によるGHG排出量削減、経済効果
合成ゴム 医療用ゴム手袋
  • 医療従事者および患者のアレルギー発症・悪化の予防
  • 医療従事者および患者の健康リスク低減
  • 医療サービスの安定的な提供
  • 健康被害リスク回避に貢献した医療従事者・患者数
農業機械用伝動ベルト
  • 合成ゴムの優れた耐摩耗性と耐候性により、伝動ベルトの耐久性向上
  • 農作業の効率化
  • 農業経営におけるコスト削減と生産性向上
  • 農業生産性の向上による食料供給の安定化
  • 代替した労働力、労働削減効果
  • 安定供給に貢献している食糧生産量
橋梁用ゴム支承
  • 橋梁への振動吸収などによる倒壊・損壊リスクの低減
  • 日常的な損害防止による構造物の長寿命化
  • 災害へのレジリエンス向上(緊急輸送路の確保)
  • 社会インフラの安定的運用と維持コスト低減
  • 橋梁の設置による時間短縮便益、走行経費短縮便益
  • 通行止め回避による経済効果
バイオマス原料由来のCSM
  • バイオ原料活用によるライフサイクルを通じたGHG排出量削減
  • 気候変動による経済的損失の抑制
  • GHG排出削減量
  • 経済損失抑制額
エチレンアミン 紙力増強剤
  • 紙の耐水性・耐湿性などの強度向上
  • 再生紙・低パルプ配合でも品質維持し、生産性向上
  • 森林資源使用量の削減
  • 生活必需品の品質向上によるQOLの向上
  • 提供可能な人数(ティッシュペーパー換算)
重金属処理剤
  • 産業飛灰、産業排水中の重金属除去
    対象金属:亜鉛、銅、水銀、ニッケル、カドミウム
  • 環境汚染の原因物質である重金属を除去し、人の健康リスク(重金属中毒や公害病)を低減
  • 有害な二硫化炭素の発生を低減し、安全な作業空間を形成
  • 環境・社会へもたらされる損害の抑制額
潤滑油添加剤
  • 摩擦・摩耗の低減によるエンジン効率・燃費の向上
  • 耐久性向上によるメンテナンス頻度減少
  • GHG排出量抑制による経済損失の抑制
  • 長寿命化による資源使用量削減
  • GHG排出量抑制による経済損失の抑制額