安全・安定操業

安全・安定操業

基本的な考え方

当社グループは、RC推進体制の下で、「安全がすべてに優先する」という環境・安全・健康基本理念と、それを達成するための行動指針に基づき、企業の最大の資産である従業員と協力会社従業員の安全・健康の確保を図り、無事故・無休業災害の達成を目指します。
リスクアセスメントにより危険源を網羅的に抽出し、多重防護層の考え方に基づきリスクの低減を適切に講じています。また、安全レベル向上のために、協力会社も含めた安全活動や安全専門技術者などの人材育成に取り組んでいます。

マテリアリティ:安全・安定操業

小項目:重大保安事故の防止

KPI(重要管理指標) 2025年度目標 2025年度実績 2026年度目標 2027年度目標
重大保安事故件数 ゼロ ゼロ ゼロ ゼロ

小項目:重大労働災害の防止

KPI(重要管理指標) 2025年度目標 2025年度実績 2026年度目標 2027年度目標
重大労働災害件数 ゼロ グループ会社:1件 ゼロ ゼロ

推進体制

推進体制は、レスポンシブル・ケア(RC)活動に掲載しています。

2025年度の実績

当社では、2025年度に5件の事故と、休業災害11件(被災人数:従業員3人、協力会社8人)が発生しました。事故や労働災害発生時には、原因究明と対策を事故対策委員会や安全衛生委員会で検討し、再発防止策として、社内やグループ会社への情報共有・水平展開を実施し、現場パトロールの強化や設備改善、安全意識向上に取り組んでいます。
また、グループ会社においても1件の事故と、休業災害15人が発生。また、グループ会社の協力会社において1件の死亡労災が発生しました。今後も情報データベースの活用や外部専門家による安全指導、グループ内での情報交換を通じて、事故、労働災害の再発防止に努めています。

事故発生件数

事故発生強度※

※ 石油化学工業協会の事故評価基準によって、それぞれの事故の重大性を定量的に評価した数値(米プロセス安全センター(CCPS)の評価法に準拠)。

労働災害発生人数(休業災害)

労働災害度数率※

度数率=(死傷者数/延べ労働時間数)×1,000,000

労働災害強度率

強度率=(労働損失日数/延べ労働時間数)×1,000

  • 労働災害発生人数
  • 労働災害度数率
  • 労働災害強度率

【集計範囲】
東ソー:南陽事業所、四日市事業所、東京研究センター

「休業労働災害の型」別 2025年度実績

  • 「休業災害の型」別 実績

【集計範囲】
東ソー、協力会社、グループ会社

安全文化の醸成

社長による計器室訪問

2012年度から毎年、社長が南陽および四日市事業所の製造現場に出向き現場と直接対話を行うことにより、経営者の安全に対する考えと現場課題の従業員との共有化を図り、従業員のモチベーションアップにもつなげています。2012〜2025年の14年間で延べ342ヵ所の計器室や事務所を訪問し、延べ7,900人以上の従業員と対話を行いました。今後も継続して取り組んでいきます。

南陽事業所訪問

四日市事業所訪問

事故の風化防止

2011年11月の第二塩化ビニルモノマー製造施設爆発火災事故を風化させないために、南陽事業所で安全モニュメントの設置や事故関連資料の保存・展示を行っています。また、発災日であった11月13日を全社「安全の日」と定め、各事業所、研究所で有識者による安全講話や安全活動発表会などを開催しています。2025年度、南陽事業所では、中央労働災害防止協会による安全講話に加えて、管理監督者向けKY研修(課長、係長対象)も実施しました。
これらの活動を通じて、従業員全員に安全な会社をつくり上げる決意を浸透させています。

安全研修(南陽事業所)

2025年度安全の日の活動内容

事業所 活動内容
南陽 安全研修 管理監督者向け実践型KY研修(課長、係長)/
中央労働災害防止協会 北陸支所長 倉上智行 氏(11月13日)
南陽 安全講話 労働災害のない企業を目指して/
中央労働災害防止協会 北陸支所長 倉上智行 氏(11月13日)
※南陽事業所より、四日市事業所と本社へ同時Web中継
四日市
本社
東京研究センター 事故に不思議な事故なし/
富田労働安全衛生研究所 所長 富田 勉 氏(11月12日)

安全講話(南陽事業所)

安全講話(四日市事業所)

安全講話(東京研究センター)

5S※活動/RC委員長5Sパトロール

当社では、事業所、研究所が一丸となって5S活動に取り組んでいます。事業所内を常に「整理・整頓・清掃」された状態に保つことで、プラントや設備の変調にも気付きやすくなります。南陽事業所では毎月第3水曜日を「事業所安全活動の日」と定め、当日は各部門で一斉清掃も行い、本館管理部門は地域貢献の一環として事業所構外の清掃活動を実施しています。四日市事業所では、毎月2回、部長・課長を中心に従業員が自主的に安全立哨や事業所内の清掃をする「朝活課5S活動」を行っています。当初は少人数での活動でしたが、回数を重ねるごとに多くの従業員が参加する活動にまで成長しています。
また、安全活動を活性化させるためには、経営陣が現場の安全活動の優れたところや、改善すべき課題について評価することも重要であるとの考えに基づき、RC委員会委員長による5Sパトロールを行っています。2025年度は、5S活動優良表彰対象職場(南陽事業所2職場、四日市事業所2職場、東京研究センター1職場および、東ソー・エスジーエム(株) )に対して、RC委員会委員長から表彰状が授与されました。こうした取り組みは、各職場におけるモチベーションアップにもつながっています。

※ 整理・整頓・清掃・清潔・躾を行うことで、職場環境を維持改善する活動。

5S活動優良職場表彰 (南陽事業所)

朝活課5S活動(四日市事業所)

5S活動優良職場表彰 (東京研究センター)

RC委員長の5Sパトロール
(東ソー・エスジーエム)

グループ全体での取り組み

グループ全体での保安防災・労働安全衛生の強化を目的に、情報共有のシステムとして「東ソーグループ安環ネット」を構築し、法令改正、事故・労働災害などの情報を共有するとともに、情報交換や交流を目的に、グループ会社の安全衛生管理担当者が一堂に会する「安環ネット会議」を年2回行っています。 2025年度は外部講師による環境法令教育(2回)と労働安全衛生教育(4回)に加えて、南陽事業所での危険体感教育施設の体験会を実施しました。
また、東ソーの本社がグループ会社を訪問する「安全環境交流会」では、その活動内容を見直し、担当者を交えた事故・労働災害の原因深掘活動(なぜなぜ分析、マニュアル検討会ほか)や、類似設備や共通課題を持つグループ会社間同士で協同的に安全課題の解決に取り組む活動(小コミュニティ活動)を開始したほか、「自社内で安全指導ができる人材の育成と現場力の強化」を目的に社外第三者による各種研修・現場指導の推進を図っています。

安環ネット会議

安環ネット安全衛生研修会

安全環境交流会

安全確保に向けた取り組み

リスクアセスメント網羅性の向上

リスクアセスメントの網羅性を向上させるため、九州大学 松山名誉教授が提唱する多重防御層※1をベースとした高度なプロセスリスクアセスメントに取り組んでいます。
事業所では、事故の未然防止を担う防御層第1~3層の健全性を評価するとともに、事故発生時の被害最小化を図る防御層第4層の検証・対策強化にも着手しています。特に事故時の影響度が大きいと判定した事象(爆発、火災、漏洩)については、FTA※2や保安防災リスクアセスメントを用いた多重事象解析やリスク評価指標の定量化などを加え、リスクの深掘りを行っています。
また、化学物質の反応危険性を網羅的に評価する異常反応情報システム(ARIS※3)を運用しており、反応危険性の評価結果をリスクアセスメントに活用し、反応暴走に起因する事故の防止も図っています。

※1 プラント事故の防止策を複数の段階(階層)で構成する仕組み。

※2 Fault Tree Analysis(製品の故障、およびそれにより発生した事故の原因を分析する手法)

※3 Abnormal Reaction Information System

教育の充実

プラントの安全・安定的かつ効率的な運転を達成するため、関係部門と連携のうえ、現場の声を反映させたさまざまな教育に取り組んでいます。
技術教育は危険体感実習※1などを実施しており、その他にもシミュレーターおよび体験型学習装置※2などを運用しています。
南陽事業所では、実機を用いた危険体感実習に加えて、2025年度から協力会社を対象にVR教育も開始しました。若手や未経験者が増加する中、実習を通して経験不足を補い、危険に気付く感性を高め、労働災害防止を図っています。

安全レベルのさらなる向上を目指し、安全工学などの専門知識に基づいたより高度なリスクアセスメントや安全対策を立案できる人材を継続的かつ組織的に育成するため、安全専門組織が行う「実践的安全技術教育」を技術系社員の教育体系に組み込むとともに、修了試験に合格した者のなかから、各部署に1名以上のプロセスセーフティエンジニア(PSE)を選任し、リスクアセスメントや変更管理などの安全評価で、PSEが中心的な役割を担う仕組みを構築しました。
四日市事業所では、2025年度から実践型安全技術教育を開始し、2026年3月に最初のPSEを選任し、運用を開始しました。なお、当該実践教育は、南陽事業所においても2026年度から開始予定です。

※1 挟まれ、巻き込まれ、落下や被液、静電気などの現場の危険を身をもって体験することのできる実習。

※2 化学プラントの基本操作である蒸留塔の原理、特性を体感できる設備で、蒸留塔の起動停止や異常時の対応などを学ぶことができる。2017年度に導入。

主な安全教育の受講人数

回転体巻き込まれ安全体感装置

高所作業における危険体感設備

工事体制システムの維持改善

当社では協力会社(工事会社)が関係する事故や労働災害への対策を進めています。
「工事体制の仕組み検証シート」にて、発生した労働災害を基にシステム上の欠陥の有無を検証しました。
さらに、南陽および四日市事業所の設備管理部門が集まり、それぞれの事業所で発生した工事協力会社の労働災害について、工事体制の仕組みに問題がなかったか、相互で確認する打合せの場を設けています。仕組みに不備が見つかった場合は、安全指示書や施工手順書兼KYシートなどの見直しを継続的に実施しています。今後は関係部門とも連携し、協力会社の労働災害発生を防止していきます。
また、南陽事業所では、中央労働災害防止協会の「問いかけKY」研修を受講するとともに、「声掛け安全パトロール」を実施しています。現場とのコミュニケーションを促進し、指導しやすい関係を築くことで、作業者の安全意識の向上を図っています。 四日市事業所では「東ソー構内ルールの安全ポイント」の資料を作成し、配布することで構内ルールの周知徹底を行っています。

入構者教育資料表紙(四日市事業所)

入構者教育資料の一部(四日市事業所)

事業所内委託作業の安全確保

南陽および四日市事業所内の包装・充填などの構内請負作業を委託しているグループ会社の東ソー物流(株)では、協力会社(構内作業会社)の労働災害撲滅に向けた活動を推進しており 、 危険箇所の調査や製造部門と連携して安全確保のための対策を順次実施しています。
南陽事業所では、2021年度から構内請負作業の安全管理強化活動を展開し、現在全40職場で活動を行っています。製造部門と協力会社との連絡会議を定期的に開催し、委託作業の業務フローと所掌範囲の明確化や、危険箇所の抽出・改善を進めています。
四日市事業所でも2023年度よりモデル職場を選定して活動を開始しています。モデル職場での製造運転助勢作業、包装作業における作業所掌範囲の明確化、作業手順書の有無、作業依頼時の安全指示精度向上活動の調査を完了し、2025年度より他職場にも展開中です。
ほかにも2024年度から委託作業の現場班長を対象とした、中央労働災害防止協会による安全衛生指導と、現場パトロール者の安全に対する感性を強化するための教育を継続しています。
また、南陽および四日市事業所ともに、東ソーと東ソー物流で合同パトロールを実施しており、声を掛け合いながら現場の声を拾い、現場を確認しながら問題点を共有し改善を協議しています。今後も、東ソー、東ソー物流、協力会社の連携を強化し、協力会社の労働災害発生の撲滅に取り組んでいきます。

DX※1推進による安全レベルの向上

デジタル技術の活用

デジタル技術の導入を積極的に進め、プラントの安全確保や安定操業にも活用しています。また、DX推進に不可欠なデジタル技術を活用できる人材の早期育成を目指し、デジタル技術教育を技術教育体系に加え、組織的な育成に取り組んでいます。

※1 Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)

運転支援
事業所共通の監視システムの導入

DCS※2データ収集システムに蓄積されるビッグデータを活用した事業所共通の監視システムを製造部門に順次導入しています。監視画面で「いつもと違う」状態を迅速に発見でき、操作ガイダンスが計器室内に配置した大型スクリーンに表示されることで誰もが素早く同じように判断、操作することができます。

※2 Distributed Control System(分散制御システム)

運転支援システムの導入

運転技術やノウハウなどをフローチャート形式で可視化する運転支援システムを導入し、運転技術の伝承・教育・手順書として利用しています。さらに、経験的な知識で操作していた作業を理論・原理を基に自動化することで、安全かつ安定した正しい操作が確実に実行できます。

スケジューラソフトの導入

生産する種類が多いバッチプラントに、販売計画に基づき、最適な設備選択、運転スケジュール作成、原料調達を支援するソフトを導入しています。属人的であった技能が知識化され、生産計画の最適化や納期短縮が図られるほか、技術の伝承も進んでいます。

ソフトセンサーの導入

通常の計測機器では測定が困難なプロセス変量(成分濃度など)を機械学習を用いてリアルタイムで自動推算することにより、変量の連続監視が可能となり、プロセス変動の早期検知および先手の運転対応につなげています。

エネルギーマネジメントシステムの導入

事業所全体の電力・燃料バランスを一括監視し、発電設備の最適な運転条件設定を支援するシステムを南陽および四日市事業所に導入しています。計算結果を基に運転調整を行うことで、高効率運転による省エネルギーを図っています。
また、生産する製品のバランスや種類に応じて蒸留塔の運転を最適化するシステムを導入し、品質の維持と省エネルギーを図っています。

運転支援・設備管理
異常予兆検知システムの導入

機械学習を利用した運転異常の予兆検知システムを導入しています。正常状態のプラントデータ間の相関性を機械学習し、得られた正常モデルと現実のズレから早期に異常を検知したり、品質の予測や生産性の改善などにも活用しています。また、無線式振動センサーによる異常予兆診断も導入し、重要な回転機やスチームトラップの監視に、アラーム発報機能を付加して状態監視機能を強化しています。
その他、運転中に直接測定が難しい設備情報の監視ツール導入の試行を進めています。

運転引き継ぎ日誌の電子化

従来の手書き運転引き継ぎ日誌を電子化し、作業履歴や運転情報、ノウハウを電子データ化しています。過去の運転情報の取り出しや三交替引き継ぎ時に関係者全員が情報を共有でき、効率化が図れます。さらに保全情報のリンクにより、設備管理部門との連携も図っています。

運転引き継ぎ日誌の電子化

モバイル端末の導入

南陽および四日市事業所の製造現場にモバイル端末の導入を進めています。電子化した運転引き継ぎ日誌に現場でパトロール結果を入力することにより、記録精度の向上や上下限値逸脱有無の検知を可能としています。また、蓄積したデータの利活用により変調の早期発見も図っています。また、作業現場と計器室が映像・音声通信を通じてリアルタイムに情報交換できることから、若年作業者の作業支援や情報伝達精度の向上にも活用しています。
南陽および四日市事業所の設備管理部全員にタブレットを導入し、定期修理工事などの現場で図面の参照やタイムリーな情報共有、作業の効率化および高度化による設備保全の向上に活用しています。

現場パトロール結果をデータ確認中

プラント基盤システムの導入

プラント操業・保守管理に必要なプロセスデータ・図面・マニュアル・資料を「芋づる式」に引き出すためのシステムを試行導入しています。プラント変調対応時や保守作業時に必要な情報を素早く、かつ的確に検索することにより、プラント安定稼働につなげます。

ポケットカメラの導入

設備管理部門では、定期修理工事中などに無線式移動カメラを多数配置し、工事関係者の待ち時間の削減や作業の監視などに活用しています。また、製造部門では、計器室からオペレーターへの安全指示や作業状況の確認に活用し、安全安定運転に寄与しています。

設備管理・保安
無線式ガス検知器の導入

事業所の敷地境界に無線式ガス検知器を設置し、毒性ガス濃度を社内ネットワークシステムにてリアルタイムで監視しています。震災による停電時でもガス漏洩を検知可能なバッテリー内蔵式の無線ガス検知器を採用することで、ガス漏洩発生時に事業所外への影響を早期・確実に把握し、迅速に対応する体制を構築しています。

ドローンの導入

発電施設などの煙突(高所・狭所)、大型タンク(高所・内面)や、埋設海水配管(酸素欠乏場所)などにて、目視と同等の視認性が得られ、安全性および工期、費用の面で従来の点検より優れる点があるため、飛行ドローンと水中ドローンを目視点検の代替手段として活用しています。また、災害時の迅速な現場状況把握などへの活用も順次進めています。
また、ドローン活用のために、管轄行政との協議による取り組みも進めており、ドローン操作要員の育成も行っています。

保安
サイバー攻撃への対応強化

保安事故防止や安定運転維持を実現するためには、サイバー攻撃への防御機能(セキュリティ対応)を強化することが不可欠です。そこで、情報系に加えてDCSなどがつながっている制御系のネットワーク上にもファイアウォールを導入し、ITとOT※の両面において、コンピューターウイルスの侵入防止能力を向上しています。また、制御装置が攻撃を受けた場合を想定した対応やリカバリ訓練を行っています。

※ Operational Technology(工場・プラントなどの設備を監視・制御する技術)

運転支援・設備管理・保安
生成AI技術の導入

プラント運転マニュアルやこれまでに蓄積してきたノウハウ・ノウホワイ情報、設備管理基準類から、生成AIにより運転・保全作業に最適な解を探索するシステムを導入しています。今後、さらに既存ナレッジの活用範囲を広げ、プラントの安全・安定稼働、設備保全業務の高度化、労働災害の防止を図っていきます。

通信インフラの整備

デジタル技術の活用には、安定した通信インフラが必須です。このため事業所内の通信性能強化としてキャリア通信用の基地局を設置しました。
また、社内における情報共有や社外連携の手段として、クラウド型ストレージを使用し、BCP(事業継続計画)およびデータの外部漏洩防止も図っています。

緊急時の対応

防災訓練

当社では、従業員の当事者意識の向上や緊急時の対応能力を身につけるため、事業所、研究所、本社、支店ごとに防災訓練を実施し、不測の事態に備えています。行政とともに行う総合防災訓練では、漏洩・火災などの災害想定だけでなく、大規模地震による津波を想定した避難訓練も実施し、地元の自治会に公開しています。さらに事業所入出門の電子化により、有事の際における入構者の管理システムを整えています。各プラントでは緊急停止対応、油流出時の緊急対応(オイルフェンス展張など)や、初期消火のホース展張・放水、保護具(空気呼吸器など)装着訓練を手順書に基づいて定期的に行い、現場対応の向上を図り有事の際に備えています。防災訓練では、ドローン飛行による事業所内の情報収集を図りました。
また、事故発生時の広報体制として「石油コンビナート災害時の住民広報マニュアル」に基づき、体制を整備しています。加えて、緊急時の地域への対応として、有事の際の対応や注意点などを製品ごとにまとめた小冊子を作成しています。
その他にも、マスコミ関係者を講師に招き、模擬記者会見と演習講演を行い、リスクコミュニケーション力の強化を図っています。

総務省消防庁主催の自衛防災技能コンテストで【総務大臣表彰】受賞

消防庁主催の「令和7年度石油コンビナート等における自衛防災組織の技能コンテスト」において、東ソー南陽事業所 自衛防災組織が最優秀賞(1位)、四日市臨海地区特別防災組織 共同霞隊(霞共同事業(株))が優秀賞(2位)を同時受賞しました。
このコンテストは、石油コンビナート防災の強化を目的に2014年から消防庁が主催して毎年開催しているものです。南陽および四日市事業所には、事故や災害に即座に対応するための防災要員や各種消防車両などを備えた自衛防災組織が設置されており、24時間体制で任務についています。本受賞を励みに自衛防災組織のさらなる充実強化を図り、地域住民の皆さまが安心して暮らすことができる安全な地域社会の実現に貢献してまいります。

名称 実施月 実施地域 参加人数 内容
上期
総合防災訓練
2025年8月 南陽 50 有害ガスの大量漏洩を想定した防災訓練。
地元消防と合同で、机上による状況付与型訓練を行い、住民広報活動の実施判断や手順を模擬で実施。
総合防災訓練 2025年10月 四日市 600 南海トラフ地震発生によるタンク火災と危険物の漏洩ならびに津波襲来を想定。
総合防災訓練 2025年10月 東京研究センター 500 新棟建設中のため、グランドなどの使用制限を受け避難訓練をメインで実施。
また、安否システム応答訓練も並行実施。
ブラインド型
総合防災訓練
2025年12月 四日市 160 プラント内で危険物の漏洩火災を想定したブラインド型の防災訓練。
すべてのプラントのなかから発災プラントを当日決定するなど、ブラインド要素を高めた訓練。
下期
総合防災訓練
2025年12月 南陽 140 有害ガスの大量漏洩を想定した防災訓練。
地元消防と合同で、現場活動をともなう状況付与型訓練を行い、ガス拡散防止に加えて、不明者の検索および救急搬送を実施。
プラントごとの訓練 年間を通して実施 各事業所 — プラント緊急停止訓練、放水訓練、保護具装着訓練、防災センターと合同による放水訓練。

自衛防災組織の技能コンテスト授賞式

下期・総合防災訓練(南陽事業所)

ブラインド型総合防災訓練(四日市事業所)

地震・津波対策の推進

避難などの対応訓練だけではなく、設備対応も順次進めています。地震対策では、引き続き従業員が常駐する計器室・事務所や資材倉庫などの耐震補強工事を順次進めています。その他、南陽および四日市事業所でエチレン配管が乗っている共通ラックについて、耐震補強工事を実施中です。また、津波対策では、保安電源二重化、電気設備の高床化、排水管浮上防止対策などを計画的に進めています。
災害発生時の対応について、ブラックアウトおよび全ユーティリティ喪失を想定した防災要員の行動マニュアルを見直し、設備対応を順次進めています。

事業継続計画(BCP※)の取り組み

当社では、大規模災害や新型ウイルスによるパンデミックなどの不測の事態が発生した場合において、従業員の身体生命の安全を確保することを第一に考えています。事業所においては、インフラ停止によるブラックアウト時の対応として非常用電源の確保、プラントの安全停止と早期復旧の対応を順次進めています。
そして、取引先に対する安定供給のために、在庫の適正化や複数購買を推進し、災害対策規程の見直し整備も継続的に取り組んでいます。また、グローバルな事業展開にともない、従業員の駐在や出張の機会が増加し、海外での戦争、地震、テロ、暴動、感染症などのさまざまな災害に見舞われる恐れがあります。そのため従業員の身体生命の安全確保を前提に海外危機管理対策を進めています。

※ Business Continuity Planning(災害や事故などの不測の事態が発生した場合でも、事業をできる限り継続させ、また中断しても可能な限り早期に復旧、再開を目指す行動計画)

社外からの評価

南陽および四日市事業所を対象として、特定非営利活動法人保安力向上センターによる「保安力(安全基盤および安全文化)評価」を2015年から継続的に受審し、これら評価を基に各事業所の保安管理システムの運用および実施状況について改善を行っています。
2025年1月の四日市事業所に加え、2026年2月には南陽事業所でも3回目の保安力評価を受審しました。 南陽事業所の評価では、「安全基盤」と「安全文化」の多くの項目において業界平均を上回る評価を受けました。その一方で、評価の過程で抽出された課題もあり、第三者機関の助言もふまえてさらなる改善に努めていきます。
また、2024年8月に四日市事業所、2025年10月に南陽事業所が「高圧ガス(認定完成検査実施者および認定保安検査実施者)の認定」に関して、経産省の中間立ち入り検査を受審し、指摘事項は有りませんでした。
なお、2026年は、四日市事業所が上記認定の更新年を迎えるため、新認定制度での申請に向けて準備を進めています。 具体的には、サイバーセキュリティに関する健全性評価とその結果に基づく対策の実施とスマート保安の積極的導入を図るため、IT統括部サイバ ーセキュリティDXグループを中心にスマート保安に関するデジタル技術導入の推進や有効性の確認を行っています。

物流安全

基本的な考え方

当社の製品を安全で持続可能なさまざまな輸送方法によってお客さまに届けるため、事故撲滅への取り組みを積極的に推進しています。また労働力不足への対応として客先荷役作業の安全確保に努めています。

物流事故撲滅への取り組み

物流に特化したKYTの実施やローリー乗務員への教育、軒先情報※1の整理、車両のハード対策検討、BRM訓練※2や航海・運航診断など、事故発生の抑制と安全意識の向上に取り組んでいます。また、2024年度より外部専門家による安全研修受講を開始しました。

※1 荷主倉庫、配送先での制約事項、現場ルールや例外対策などの情報。

※2 船舶の安全で効率的な運航を達成するために、ブリッジで利用できるあらゆる資源を有効に活用することで、ヒューマンエラーによる海難事故防止を目的とした訓練(Bridge Resource Management)。

輸送機器への対応

車両後退時の安全確保のため、客先構内の軒先情報を見直し、見直し後の軒先情報や納入手順の教育および、荷物や車両のはみ出し・接触リスクについての教育などを実施しました。 また、トラックでの荷役作業の安全確保、トラック乗務員の負担軽減のために、荷卸し時の付帯作業について適正化を図っています。

ローリー運輸への対応

物流協力会社から要望のあったローリー納入設備の改善要望はほぼ対応が完了しました。今後は荷役作業における安全性向上の取り組みとして、荷役作業の責任範囲を明確化し、着荷主と荷役時の安全対策について協議する予定です。

船舶運輸への対応

船舶については物流協力会社への教育として航海・運航診断※3を実施(2025年度は15隻が受診)し、受診結果についてのフォローアップも実施しました。また、定期傭船のBRM訓練は、より高性能なシミュレーターで実施(2025年度は15隻が受診)しました。また船員を対象に行った着離桟の危険個所についてのアンケート調査の結果を元に約3分の2の危険個所の改善が完了しており、今後も積極的に取り組んでいきます。

※3 第三者機関の指導員が実際の航海に添乗し、乗務員の判断状況やトラブル対応能力を診断する。