気候変動問題への対応

気候変動は世界でもっとも関心が高い社会課題の一つです。
東ソーグループは事業活動を通じた温室効果ガス(Greenhouse Gas、GHG)排出量削減への貢献が、
中長期的な成長における最重要課題と認識し、省エネルギーや燃料転換によるCO2排出削減、CO2の有効利用に向けた技術検討を推進しています。

基本的な考え方

産業革命以降、化石燃料の使用量増加にともない、CO2を含むGHGの大気中濃度が増加しており、地球温暖化が進行しています。地球温暖化による弊害には、熱中症、森林火災、北極海氷面積の減少、海面水位上昇、豪雨、洪水、大型台風、農作物の品質低下、漁獲高減少、感染症などが挙げられ、世界各国共通の課題となっています。
日本においては産業部門からのCO2排出量(エネルギー起源)がもっとも多く、東ソーグループが属する化学工業は鉄鋼業に次ぎCO2排出量が多い業種です。現状の東ソーグループのGHG排出量は化学業界のなかでも高いレベルにあり、GHG排出量削減が最重要課題と認識しています。
2020年10月に日本政府は2050年脱炭素社会の実現をめざすとの宣言を発しました。これを受けて、東ソーは2022年1月に東ソーグループ全体でのGHG排出量削減方針を策定しました。

東ソーグループのGHG排出量削減方針

  • 2030年度までにGHG排出量(スコープ1+2)を2018年度比で30%削減
  • 2050年カーボンニュートラル(CN)への挑戦

東ソーのGHG排出量の大半がエネルギー起源CO2です。東ソーは省エネルギー投資を積極的に実施し、この削減に精力的に取り組んできました。今後も日本のエネルギー政策、技術革新、CO2フリー燃料の流通などの動向をふまえながら、脱炭素社会に向けた諸施策をタイムリーに実施していきます。
また東ソーは、2019年11月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD※1)提言への賛同を表明し、提言に沿い、グループの取り組みに関する情報開示しています。さらに、社会要請の高まりを受け、当社製品のCFP※2算定値の精度向上に努め、顧客製品のCFP低減に資する施策を進めていきます。

※1 Task Force on Climate-related Financial Disclosures:企業の気候関連リスク、機会を理解するうえで有用な情報開示の枠組みを策定することを目的に、金融安定理事会により設置された組織。2017年6月に、情報開示の推奨項目に関わる提言を公表。

※2 Carbon Footprint of Products:商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスにわかりやすく表示する仕組み。

CSR重要課題への取り組み:気候変動問題への対応

KPI(重要管理指標) 目標 2022年度実績 2023年度実績 2024年度実績
東ソーグループ
GHG排出量
2030年度に
2018年度比30%削減
実施中 実施中 実施中

GHG排出量削減施策

  1. 省エネルギーの推進

    新規投資におけるGHG排出量の増減を内部炭素価格(6,000円/トン-CO2)を用いて費用換算することで、投資判断の材料としています。

  2. 使用エネルギーの脱炭素化

    GHG排出量削減に向けた最大のターゲットは自家火力発電設備からのCO2排出量削減です。GHG排出量の多い石炭など化石燃料からの段階的な転換(バイオマス、アンモニア、水素など)を進め、合わせて再生可能エネルギー(太陽光など)の導入の取り組みを強化し、使用エネルギーの脱炭素化を推進します。

  3. CO2の回収・有効利用

    発電設備や製造プロセスから発生するCO2を分離・回収し、ポリウレタン原料などに有効利用する技術開発を外部研究機関や国の支援も受け、進めていきます。

  4. GHG排出量削減に向けた投資

    上記1~3の対応のため、従来の設備投資に加えて2030年度に向けて約1,200億円のGHG排出量削減投資を行う方針です。

東ソーグループGHG排出量削減計画

省エネ法・温対法改正により見直し(2024年度改定)