コーポレートガバナンス

基本的な考え方

東ソーは、企業価値を継続的に向上させるため、経営環境の変化に迅速に対応できる効率的な組織体制を構築するとともに、公正で透明性の高い健全な企業経営に努めています。コーポレートガバナンス・コードの趣旨や精神を尊重するとともに、東ソーにとって最適なコーポレートガバナンスのあり方を継続的に追求しています。

コーポレートガバナンス体制

コーポレートガバナンス強化の変遷

年月 取り組み
2002年6月
  • 社外監査役の選任(2人)
2003年5月
  • コンプライアンス委員会を設置
2006年6月
  • 取締役任期を2年から1年に短縮
2009年6月
  • 内部統制委員会を設置
2014年6月
  • 社外取締役の選任(1人)
2015年6月
  • 社外取締役の増員(1人→2人)
2016年6月
  • 取締役会の実効性評価を開始
  • 執行役員制度の導入
2018年6月
  • CSR委員会を設置
2019年6月
  • 指名・報酬諮問委員会を設置
2020年6月
  • 社外取締役の増員(2人→4人)
  • 女性社外取締役の選任(1人)
2021年6月
  • 社外監査役の増員(2人→3人)
  • 常勤社外監査役の選任(1人)
2023年1月
  • サイバーセキュリティ委員会を設置
2024年6月
  • 女性社外取締役の増員(1人→2人)
  • 役員報酬決定方針の改定(マテリアリティの達成度指標の導入)
2025年6月
  • CSR委員会をサステナビリティ推進委員会へ改称

取締役会 2024年度開催実績 15回

取締役会は、社外取締役4人(うち女性2人)を含む取締役9人で構成しており、原則として月1回以上開催しています。法令、定款、取締役会規則などに基づき、経営計画、事業戦略、その他経営に関する重要事項を決定するとともに、各取締役および執行役員による職務執行を監督しています。また、執行役員の選任、解任および業務執行の分担は取締役会の決議により、決定しています。

指名・報酬諮問委員会 2024年度開催実績 9回

コーポレートガバナンス強化の一環として、取締役、監査役、執行役員の指名・報酬等に関する公正かつ透明性の高い手続きを行うため、2019年6月に指名・報酬諮問委員会を取締役会の諮問機関として設置しました。同委員会は社外取締役4人を含む取締役6人で構成しており、委員長は社外取締役が務めています。

監査役会 2024年度開催実績 15回

監査役会は企業経営に精通する、もしくは法務、財務および会計に関する相当程度の知見を有する社外監査役3人を含む監査役4人で構成しており、原則として月1回以上開催し、取締役の職務の執行について監査しています。
各監査役は、監査役会が定めた監査の方針、職務の分担に従い取締役会やその他重要な会議に出席し、取締役および使用人などからその職務の執行状況について報告を受け、必要に応じて説明を求め、重要な決裁書類などを閲覧し、本社や主要な事業所において業務・財産の状況を調査しています。また、グループ会社については、グループ会社の取締役および監査役などと意思疎通や情報の交換を図り、必要に応じて業務の報告を受けています。なお、監査役の職務遂行機能の強化を図るため、監査役会に監査役会事務局を設置しています。

経営会議 2024年度開催実績 26回

経営会議は、執行役員を兼務する取締役ならびにセクター長の7人で構成しており、原則として週1回開催しています。取締役会の付議事項に関する事前審議およびグループ経営全般に関わる重要案件を審議し、適正かつ効率的な経営の意思決定を可能にする体制を構築しています。

全社委員会概要

委員会 概要 2024年度
開催実績
サステナビリティ推進委員会 社長執行役員を委員長とし、経営会議メンバー、本社管理部門長、全社委員会委員長で構成され、サステナビリティ活動方針の策定、マテリアリティの進捗管理などを行っています。また、サステナビリティ活動に関わる具体的事案とその対応策に関する報告と審議を行っています。 2回
内部統制委員会 専務執行役員を委員長とし、「金融商品取引法」の財務報告に係る内部統制報告制度と会社法の求める内部統制システムの整備への対応に取り組んでいます。また、定期的に内部統制の整備や運用状況の評価・是正を行っています。 4回
コンプライアンス委員会 専務執行役員を委員長とし、コンプライアンス体制の構築、教育などの諸施策の策定と内部通報制度の運用に取り組んでいます。また、定期的にコンプライアンス推進計画や内部通報制度の運用状況の評価・是正を行っています。 2回
RC委員会 常務執行役員を委員長とし、RC活動推進のための体制構築、RC年度方針などの策定に取り組んでいます。また、各部門の活動を把握するためにRC監査を定期的に実施しています。 1回
輸出管理委員会 代表取締役を委員長とし、安全保障輸出管理規程に定める基本方針「外国為替及び外国貿易法」の遵守に関する諸施策の策定を行っています。また、輸出部門の長を現業部門の責任者として配置しています。 1回
独占禁止法遵守委員会 常務執行役員を委員長とし、「独占禁止法」「下請法」の遵守に関する社内規程やマニュアルの整備およびその実践に関わる施策の策定を行うとともに、事務局による社内教育研修を通して周知徹底を図っています。また、法遵守に関わる具体的事案とその対応策に関する報告と審議を行っています。 1回
CO2削減・有効利用推進委員会 社長執行役員を委員長とし、技術とコストの両面から、CO2削減や有効利用に関する事項の企画、方針策定を実施しています。また、定期的に企画に関わる具体的事案とその対応策に関する報告と審議を行っています。 2回
サイバーセキュリティ委員会 常務執行役員を委員長とし、製造・R&D・保安・設備管理・IT・監査部門長で構成され、サイバーセキュリティ全般に関わる各種政策策定、進捗管理などを行っています。また、定期的に具体的事案の対応状況の評価とその対応策に関する報告と審議を行っています。 2回

役員の多様性

役員の選任は、会社の全部門にわたって管理・監督ができる人材を確保するという観点から、経営企画、製造・研究、販売、財務・経理などの分野に精通しており、職務遂行状況や実務経験、リーダーシップの有無、人格、能力などを総合的に勘案しています。
また、社外の企業経営者、学識経験者、法曹関係者など豊富な経験や実績、幅広い見識を有し、東ソーグループの重要事項の決定などを通じ、適切な経営の監督を行うとともに、東ソーグループの持続的な成長・企業価値の向上に資する有益な助言をいただける独立社外役員を複数名選任しています。

社外取締役および社外監査役(社外役員)

会社の業務執行に対する中立的・客観的視点からの監視機能による適切なガバナンス体制を維持するため、独立性が確保され、幅広い経験・見識を有する社外役員を選任しています。東ソーでは独自の「社外独立性判断基準」を設定し、当該基準に照らし合わせて独立性が確保されていることを判断しています。社外役員は取締役会などに出席し、定期的に説明や報告を受けることで、監督・監査を実施しています。

  • 社外取締役のサポート体制
    取締役会に付議される事案などの内容について、事務局より事前に説明しています。また、重要会議の審議内容について、所管部署より定期的に報告を実施するほか、国内外拠点の視察および会計監査人とのミーティングの場を設けています。
    社外取締役は、これらの取り組みを通じて事業への理解を深めるとともに、課題やリスクを把握し、これらをもとに取締役会において発言を行っています。
  • 社外監査役のサポート体制
    監査役会において、常勤監査役が経営会議などの重要な会議の内容や往査の結果など、日常的な監査を通じて得られた情報の報告・共有を行っており、必要に応じて国内外拠点における監査役監査に同席しています。また、取締役会の開催に際しては、常勤監査役より取締役会に付議される議案などの内容について事前に説明しています。そのほか、会計監査人および内部統制委員会とのミーティングを行い、監査計画の進捗および結果について、報告を受けています。
    社外監査役は、これらの取り組みを通じて、適切な監査に寄与しています。

執行役員

経営の意思決定および監督機能と業務執行機能を分離することで、意思決定の迅速化・効率化を図るとともに、業務執行の役割と責任の明確化を進め、経営環境の急激な変化に対応できる経営体制を構築することを目的として、執行役員制度を導入しています。2025年6月末現在の執行役員は32人で、うち5人は取締役兼務者となっています。

取締役会の実効性についての分析・評価

取締役会の実効性の評価は、客観性・透明性を確保するため、外部機関の助言を受け、取締役および監査役に対し、取締役会の構成や運営などの項目について、アンケート調査を行う方法で実施しています。2024年度の取り組みおよび評価結果の概要は以下の通りです。

2024年度に実施した取り組み

  • 管理部門(経営企画・連結経営部および広報・IR室)からの報告テーマに基づき、企業価値向上に資する中期経営計画の策定に関するフリーディスカッションを3月に実施しました。
  • 2024年7月取締役会より、機能商品セクター長、クロル・アルカリセクター長が常時陪席し、担当セクターに関係する案件説明を行っています

2024年度の評価結果および今後の取り組み

評価結果

アンケートの回答結果をふまえ、分析・評価した結果、現状、当社の取締役会は、取締役会全体としてその役割・責務をおおむね実効的に果たしているとの評価に至りました。

〈役割・責務をおおむね実効的に果たしていると判断した理由〉

①知識・経験・専門性・職歴・ジェンダーなどの観点で多様性を備え、社内外のバランスの取れた取締役構成の継続
②必要十分な報告に基づく適切なリスク管理および業務執行の監視・監督の継続
③取締役会の適正な運営(開催頻度、付議範囲、審議時間、資料分量・配布時期など)の継続

今後の取り組み

ESGへの対応やCSRの取り組みについては一定の議論はできているとの意見がある一方で、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組みについては一層の議論が必要との意見も寄せられており、引き続き、検討していきます。企業を取り巻く環境の変化、取締役会への社会的要請をふまえ、今後、取締役会の実効性確保のために必要と考えている事項についてはアンケートの自由意見記入欄にて意見を求めており、寄せられたテーマについては、喫緊の課題と照らし合わせ、議論テーマに取り上げていきます。なお、事業ポートフォリオについては、中期経営計画策定にあたり議論を進め、チェーン事業と先端事業に区分けし、事業ポートフォリオ戦略として発表しました。
今後も引き続き、分析・評価結果に基づく取り組みを不断に行っていくことで、当社グループの持続的な成長・企業価値の向上に資するように努めていきます。

2024年度の取締役会の出席状況

氏 名 役 職 取締役会への出席状況
桒田 守 代表取締役社長 社長執行役員 100%(15回/15回)
安達 徹 代表取締役 専務執行役員 100%(15回/15回)
土井 亨 取締役 常務執行役員 100%(15回/15回)
𠮷水 昭広 取締役 常務執行役員 100%(15回/15回)
亀崎 尊彦 取締役 常務執行役員 100%(15回/15回)
阿部 勗※1 社外取締役(独立役員) 100%(3回/3回)
本坊 吉博 社外取締役(独立役員) 100%(15回/15回)
日高 真理子 社外取締役(独立役員) 100%(15回/15回)
中野 幸正 社外取締役(独立役員) 100%(15回/15回)
橋寺 由紀子※2 社外取締役(独立役員) 100%(12回/12回)
米澤 啓 常勤監査役 100%(15回/15回)
岡山 誠 社外常勤監査役(独立役員) 100%(15回/15回)
寺本 哲也 社外監査役(独立役員) 100%(15回/15回)
尾﨑 恒康 社外監査役(独立役員) 100%(15回/15回)

※1 2024年6月21日に退任しました

※2 2024年6月21日に就任しました

取締役・監査役の専門性と経験

役  員 専門性と経験
企業
経営
財務・
会計
法務
コンプライアンス
リスクマネジメント
営業
マーケ
ティング
製造
研究開発
テクノロジー
国際性 人事・
ダイバー
シティ
サステナ
ビリティ




桒田 守 代表取締役社長
社長執行役員
安達 徹 代表取締役
専務執行役員
𠮷水 昭広 取締役
常務執行役員
亀崎 尊彦 取締役
常務執行役員
大道 信勝 取締役
常務執行役員
本坊 吉博 取締役(社外)
独立役員
日高 真理子 取締役(社外)
独立役員
中野 幸正 取締役(社外)
独立役員
橋寺 由紀子 取締役(社外)
独立役員




米澤 啓 常勤監査役
眞武 尚史 常勤監査役(社外)
独立役員
寺本 哲也 監査役(社外)
独立役員
尾﨑 恒康 監査役(社外)
独立役員

上記一覧は、取締役・監査役の有するすべての知見を表すものではありません

役員報酬

報酬額等の算定方法の決定方針

企業業績と企業価値の持続的な向上、および優秀な人材の確保を目的とした報酬体系とすることを基本方針としています。
役員の報酬は、株主総会で決議された報酬総額の範囲内で決定することとしています。

2024年度の役員報酬総額

役員区分 報酬等の総額
(百万円)
報酬等の種類別の総額(百万円) 対象となる
役員の員数(人)
固定報酬 業績連動
報酬等
非金銭
報酬等
取締役
(うち社外取締役)
434
(58)
248
(58)
124
(-)
61
(-)
10
(5)
監査役
(うち社外監査役)
80
(51)
80
(51)
4
(3)

2024年6月21日開催の株主総会終結の時をもって退任した取締役1人を含んでいます。

取締役報酬等に関する株主総会の決議年月日は2024年6月21日であり、決議内容は、取締役の報酬等の総額を年額6億70百万円以内(この額は①現金報酬部分5億90百万円〔うち社外取締役80百万円以内〕、②社外取締役を除く取締役に対する株式報酬部分80百万円とし、使用人兼務役員の使用人分給与および賞与を含まない)とするものです。決議時の取締役の員数は9人(うち社外取締役4人)であります。また、監査役報酬等に関する株主総会の決議年月日は2024年6月21日であり、決議内容は、監査役の報酬等の総額を年額1億20百万円以内とするものです。決議時の監査役の員数は4人(うち社外監査役3人)であります。

取締役会、指名・報酬諮問委員会の活動内容

2024年度における役員の報酬等の額の決定過程における活動は、取締役会を3回、指名・報酬諮問委員会を4回開催しました。取締役報酬制度の見直し、取締役の報酬等の額の改定などについて、指名・報酬諮問委員会の答申をふまえて、取締役会にて決定しています。

取締役の個人別報酬等の決定方針

基本方針に基づく具体的内容は以下の通りです。

① 固定報酬の額の算定方法の決定に関する方針

固定報酬は、役位の対価と捉え、外部機関が集計している経営者報酬の調査結果における報酬水準等を考慮して、役位ごとに決定する。

② 業績連動報酬に係る業績指標の内容及び業績連動報酬の額の算定方法の決定に関する方針

業績連動報酬は、経常的な営業活動に財務活動を加えた事業全体の成果を表す業績指標として前事業年度の連結経常利益を用いる業績連動報酬、株主への利益還元を表す業績指標として前事業年度決算に基づく1株当たりの年間配当金を用いる業績連動報酬、また、持続可能な社会への貢献を推進するための業績指標として前事業年度の当社CSR重要課題のKPI達成度合を用いる業績連動報酬にて構成し、各金額は、外部機関が集計している経営者報酬の調査結果における報酬水準等を考慮して決定する固定報酬との比率及び業績連動幅に基づき、役位ごとに決定する。(報酬金額決定にあたっての具体的な指標の目標は定めていない。)

③ 非金銭報酬(株式報酬)の内容及び非金銭報酬の数の算定方法の決定に関する方針

非金銭報酬である譲渡制限付株式の割り当ては、貢献度等諸般の事項を総合的に勘案して、役位ごとに決定する。

④ 固定報酬、業績連動報酬、非金銭報酬の額の取締役の個人別報酬等の額に対する割合の決定に関する方針

個人別報酬等の額に対する、固定報酬、業績連動報酬、非金銭報酬(株式報酬)の割合は、外部機関が集計している経営者報酬の調査結果における報酬水準等を考慮して、役位ごとに決定する。また、社外取締役は、その役割と独立性の観点から、固定報酬のみとする。

⑤ 取締役に対し、報酬等を与える時期又は条件の決定に関する方針

固定報酬及び業績連動報酬は毎月支給する。固定報酬は当年度の役位に基づき、また、業績連動報酬は前年度の業績及び評価に基づき、当年度の報酬として毎月支給する。非金銭報酬である譲渡制限付株式報酬は、割当契約書に基づき、譲渡制限が付された株式を毎年割り当て、退任時に譲渡制限を解除する。

⑥ 上記以外の取締役の個人別報酬等の内容についての決定方法

取締役の個人別報酬等については、過半数を独立社外取締役で構成する指名・報酬諮問委員会の答申をふまえて、取締役会にて決定する。

監査役の報酬の決定方法

監査役の報酬は、その役割と独立性の観点から、固定報酬のみとしており、監査役会にて決定する。

内部統制

東ソーでは、コーポレートガバナンスが有効に機能するためには、内部統制システムの構築が必要不可欠であると考えており、取締役会決議にて「内部統制システムの整備についての基本方針」を制定しています。
専務執行役員を委員長、各管理部門長を委員、常勤監査役をオブザーバーとする内部統制委員会にて、金融商品取引法の財務報告に関する内部統制報告制度と上述の基本方針に対する内部統制の整備や運用状況の評価・是正を定期的に審議、確認をしています。
また、同委員会の議事内容は取締役会にて報告しています。

内部監査

東ソーでは、内部統制のモニタリング活動の一つとして、監査役監査、会計監査人監査とは別に、内部監査専門部署として監査室を設置して監査を実施しています。監査室は、年間監査計画に基づき、監査対象先の適用法令や社規などの遵守状況および内部統制システムの整備・運用状況の有効性と効率性を評価しています。監査結果については、代表取締役社長および監査役に報告し、監査実施状況を定期的に取締役会に報告しています。
監査室は、内部統制機能を有する部署やグループ会社の事業責任部門へのヒアリングを実施してリスクの洗い出しを行うなど、監査の効率性と実効性の向上を図っています。監査対象は約100部門(製造部、研究所、支店、国内外グループ会社など)で、定期的に監査しています。また、会計監査人とは、適宜情報交換・意見交換を実施しています。

政策保有株式

東ソーは、取引関係の維持・発展などを目的に取引先の株式を保有しています。毎年、取締役会において、保有目的の適切性および保有にともなう便益や資本コストに見合っているかを確認しています。検証の結果、将来の収益性や取引関係強化などが見込めず、当社の企業価値向上につながらないと判断した株式については、売却を検討することとしています。

区分 2024年度
取得 売却 期末残高
銘柄数 取得価額
(百万円)
銘柄数 売却価額
(百万円)
銘柄数 期末残高
(百万円)
非上場株式 3 90 2 174 73 4,688
非上場株式以外の株式 3 1,569 60 42,577