1996.03.18

ニュースリリース

エチレンアミンの生産能力増強について

東ソーは、ファイン・ケミカル事業の主力製品であるエチレンアミンの生産能力を年産4万トン強に増強することを決定した。第1段階として、南陽事業所にある現有プラント(年産1万5千トンの生産能力)のデボトルネッキングを本年夏に実施し、生産能力を約4割増強する。さらに第2段階として、97年末を目途に年産能力を4万トン強とする。

 エチレンアミンは二塩化エチレン(EDC)、苛性ソーダ、アンモニアを出発原料とするEDC法、あるいはエチレンオキサイド(EO)、アンモニアを出発原料とするEO法により製造され、分子量などの違いにより約8種類存在する。その用途は、エポキシ樹脂硬化剤、紙力増強剤、キレート剤、医・農薬、界面活性剤、染色助剤など幅広い。

 現在、エチレンアミンの需要は全世界で年間23万トン程度であるが、今後、年率4%程度の伸びが予想され、3~4年後には完全な供給不足となる。なかでも当社以外に供給源のない東南アジア市場では年率10%近い伸びを示している。また、エポキシ樹脂硬化剤や紙力増強剤などの一般消費材に多く使用されている分子量の大きいハイアミンの需要増加が顕著であり、当社の製造法であるEDC法は競合他社のエチレンオキサイド法と比ベハイアミンの得率が高い。今回の増強により、今後の東南アジアを中心とした需要増加への対応に加え、当社で推進しているウレタン用触媒を始めとするアミン誘導品の拡大による自家消費率の増加への対応も可能な供給体制が整うことになる。

 当社はこれまで海外立地を含めFS(企業化調査)を重ねてきたが、南陽事業所に於ける電解ソーダ・EDC事業の持つ優位性を全面的に有効利用すること、製造技術の改良によりハイアミンの得率の大幅な向上が可能になったことなどにより、今回の増強に至った。

 当社はアクゾ・ノーベル社(オランダ)との合弁会社であるデラミン社(オランダ)で年産3万トンのエチレンアミンを製造・販売している。今回の増設により、合計で年産7万トンを超える生産能力を有することになり、ダウ・ケミカル社(アメリカ)、UCC社(アメリカ)と並び世界市場を睨んだグローバルな販売政策を構築、展開して行く。特に需要増加の著しい東南アジアに於いては、デラミン社との連携も強化、販売網の整理・統合を含め、強力な地盤作りを目指す。