基本的な考え方
東ソーグループは、事業活動を通じて、環境・経済・社会が統合的に調和し、持続的な社会の発展に貢献するとともに、循環経済の実現に向け、資源の有効利用などに努めます。事業活動で発生する大気・水域排出、廃棄物などの重要な管理項目を適正に管理し、環境影響の最小化を目指します。
インプット・アウトプット(東ソーグループ)
東ソーグループは、製品のライフサイクルを通して、事業活動に伴う環境負荷の低減を推進しています。また、限りある資源(燃料、原材料、水)のインプットを有効に利用して製品を得るとともに、大気・水域などへの環境負荷のアウトプットの低減に努めています。
東ソーおよび国内グループ会社
- 工業用水、海水、地下水、上水の合計値としています。
- 自家消費分は除いています。
- N2O、CH4、SF6、HFCの合計値としています。
- CO₂(廃棄物の原燃料使用)は温室効果ガス排出量合計には含まない。
集計範囲についてはバウンダリー一覧をご覧ください。
海外グループ会社
集計範囲についてはバウンダリー一覧をご覧ください。
大気環境保全
東ソーおよび国内グループ会社は、SOx(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)、ばいじんなどの大気汚染物質の排出について、大気汚染防止法および地元自治体との協定値より厳しい自主管理値を特定施設ごとに定めて、排出濃度・量をモニタリングしています。多くのプラントでは、大気環境保全のために排ガス中のSOxは脱硫装置、NOxは触媒吸着など、ばいじんはバグフィルターおよび電気集塵機などで除去したのちに大気排出しています。2023年度は、法規制値および協定値の超過はありませんでした。
- SOx排出量
- NOx排出量
- ばいじん排出量
算出方法:特定施設ごとに法定で定められた時期ごとの分析値(濃度、ガス排出量)より算出。
VOC
東ソーのVOC(揮発性有機化合物)排出量は2023年度180トンでした。一方、国内グループ会社合計は155トンでした。
フロン類
東ソーは、フロン類(特定フロン、代替フロンなど)を冷媒として使用する機器について、環境法令(オゾン層保護法、フロン排出抑制法等)や行政の指針、動向に基づく対応を進めています。
また、フロンなど算定漏えい量の国への報告を適切に行うとともに、漏えいを最小限に抑えるべく、管理値を設定するとともに、検知器を活用した漏えいの早期発見により速やかに補修対応を実施しています。
水域環境保全
東ソーおよび国内グループ会社は、排水処理施設にて汚濁物質を除去、また、排水中の有効成分を回収し、水質汚濁防止法および地元自治体との協定値より厳しい自主管理値を定めて、COD、全窒素、全りんなどの排出量をモニタリングしています。2023年度は、1件の協定値超過がありました(懲罰、行政指導はありませんでした)。
- COD排出量
- 全窒素排出量
- 全りん排出量
水資源利用
東ソーおよび国内グループ会社は、さまざまな化学製品を製造しており、その製造プロセスでの加熱や冷却、溶解、洗浄、化学物質の除害設備、排水設備などで水を使用しています。このため、東ソーグループにとって、水は欠かすことができない重要な資源です。東ソーグループの各社は、事業所周辺の水資源の持続可能な利用に向け、取水の有効利用(循環式水冷却装置、より高性能な熱交換器など)に努めるとともに、排水水質の維持・向上に取り組んでいます。
また、サプライヤーに対しても、CSR調達ガイドラインを通じて、排水管理や水の効率的な利用を求めています。
東ソーグループは、国内外の各生産拠点について、評価ツールを用いて水リスク評価を行っています。その結果、各拠点の水リスクが高くないことを確認しています。
- 取水量
- 排水量
産業廃棄物
東ソーおよび国内グループ会社は、循環経済への移行(Reduce Reuse Recycle Renewableなど)を推進しています。
東ソーは、経団連循環型社会形成自主行動計画(第五次目標)に準じて、産業廃棄物の再資源化率90%以上を目標に掲げ、2023年度の実績は96%となりました。また、最終処分量を2000年度実績比75%程度削減する目標を設定しています。2023年度の最終処分量は507トンとなり、目標(1,261トン以下)を達成しました。事業所内で発生する石炭灰などの産業廃棄物は、そのほとんどをセメントプラントの原料として再資源化しています。また、地元自治体から収集されるプラスチック廃棄物の「地産地消」型リサイクルの推進や社外のプラスチックゴミを積極的に受け入れ、セメントの原燃料として有効活用することで、周辺地域の負担軽減の一助も担っています。
なお、グループ会社においても、処分会社搬入までは排出者責任という意識をもって廃棄物を適切に管理し、処分しています。
産業廃棄物発生量417,752トンには、特別管理産業廃棄物91,859トン(特定有害産業廃棄物※1,353トン 他90,506トン)を含みます。
数値は、南陽事業所、四日市事業所、東京研究センターおよび本社の合計です。
2023年度の最終処分量は、産業廃棄物発生量の0.1%となりました。
データ収集方法:マニフェスト記載量より集計。
- 特定有害産業廃棄物:PCB、廃水銀、廃石綿、有害金属(カドミウム、鉛、クロム)、ヒ素、ダイオキシン類、廃油などを含む廃棄物
- 埋立最終処分量
PCB(ポリ塩化ビフェニル)含有機器の処理状況
東ソーおよび国内グループ会社は、PCB特別措置法に基づき、PCB含有機器の適切な処理を進めています。
東ソーでは、高濃度PCB含有機器のうち変圧器・コンデンサ、照明器具の安定器などもすべての高濃度PCB含有機器の処理が完了しました。低濃度PCB含有機器は2023年度までに全体の約8割を処理し、残る機器も2026年度までに計画的に処理していきます。
PRTR※1制度対象物質排出抑制への対応
東ソーおよび国内グループ会社は「化学物質排出把握管理促進法」(化管法)に基づくPRTR制度対象物質の排出量について、自主目標を定めて排出削減に努めています。
2023年度より新たに追加された対象物質の影響※2により、東ソーの排出量は5,175トンと大幅に増加しました。引き続き排出抑制に努めるとともに、新規対象物質の実態把握と削減方針について検討していきます。
なお、法改正前の対象物質に関する排出量は357トンであり、自主目標(424トン以下:2015年度比30%以上削減)を達成しています。
一方、国内グループ会社の総排出量は、277トンとなり、対象グループ企業の増加などの影響によって、2022年度比208トン増加しました。
- Pollutant Release and Transfer Register
- 2023年4月1日改正化管法施行(第1種指定化学物質の変更:462種→515種)
- PRTR対象物質総排出量
算出方法:化管法の算出方法に基づいて、対象物質ごとの算出法により算定。
2023年度PRTR対象物質排出・移動量
物質名称 | 大気への 排出量 | 水域への 排出量 | 土壌への 排出量 | 埋立 処分量 | 事業所内 排出量合計 | 下水道への 移動量 | 事業所外 移動量 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
クロロベンゼン | 34.0 | 1.6 | 0.0 | 0.0 | 35.6 | 0.0 | 79.0 |
クロロエチレン(塩化ビニル) | 41.6 | 2.1 | 0.0 | 0.0 | 43.7 | 0.0 | 0.0 |
クロロホルム | 4.6 | 12.6 | 0.0 | 0.0 | 17.2 | 0.0 | 0.1 |
1,2-ジクロロエタン | 28.0 | 1.4 | 0.0 | 0.0 | 29.4 | 0.0 | 54.1 |
エチレンジアミン | 4.1 | 8.2 | 0.0 | 0.0 | 12.3 | 0.0 | 0.1 |
酢酸ビニル | 9.6 | 3.8 | 0.0 | 0.0 | 13.4 | 0.0 | 0.4 |
1,1,2-トリクロロエタン | 24.0 | 0.9 | 0.0 | 0.0 | 24.9 | 0.0 | 50.5 |
ノルマルヘキサン | 120.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 120.0 | 0.0 | 3.9 |
その他 | 231.9 | 4,638.7 | 0.0 | 0.0 | 4,870.6 | 0.0 | 1,544.4 |
ダイオキシン類(mg-TEQ) | 16.6 | 9.5 | 0.0 | 0.0 | 26.1 | 0.0 | 26.5 |
環境会計
環境保全対策への投資・費用および効果を定量的に把握するために、環境会計を導入しています。
環境投資は、省エネルギーや燃料削減対策に関わる設備への投資を中心に、23億円となりました。
環境費用は、2022年度比で約12億円減少し、206億円となりました。
経済効果は、有価物の売却による収益、省エネルギーによる費用増加などにより66億円となりました。
【集計範囲】
南陽事業所、四日市事業所、東京研究センター
環境保全コスト
分類 | 主な取り組みの内容 | 投資額 | 費用額 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2022年度 | 2023年度 | ||||
事業所エリア内コスト | 73.3 | 23.3 | 46.0 | 20.4 | 173.3 | 160.8 | |||
公害防止コスト | 排ガス・排水処理対策 | 48.9 | 9.8 | 33.1 | 3.9 | 108.8 | 99.3 | ||
地球環境保全コスト | 電力・燃料削減対策 | 11.2 | 12.2 | 10.1 | 13.7 | 27.2 | 25.1 | ||
資源循環コスト | 原料回収・廃棄物回収対策 | 13.2 | 1.3 | 2.7 | 2.7 | 37.3 | 36.4 | ||
管理活動コスト | 環境マネジメント、 環境影響評価、 環境報告書発行、 環境負荷監視 | 0.3 | 0.8 | 0.1 | 0.4 | 14.7 | 9.1 | ||
研究開発コスト | 環境負荷削減技術開発、 環境関連製品開発 | 2.4 | 1.7 | 2.3 | 2.4 | 29.3 | 34.8 | ||
社会活動コスト | 協会会費、緑化、地域共生 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.3 | 0.2 | ||
その他 | 0 | 0 | 0.1 | 0 | 0.7 | 1.1 | |||
合計 | 76.0 | 25.8 | 48.4 | 23.1 | 218.3 | 206 |
経済効果
内容 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
収益 | 社外産業廃棄物再利用処理受託額、規格外品売却額 | 15.3 | 12.7 | 11.6 | 10.3 | |
費用削減 | 省エネ | 省エネルギーによるエネルギー費用の削減 | 15.6 | 7.0 | 17.8 | 9.5 |
省資源 | 省資源またはリサイクルに伴う廃棄物処理費用の削減 | 29.3 | 41.6 | 53.8 | 46.3 | |
合計 | 60.2 | 61.3 | 83.1 | 66.1 |
環境省が制定した「環境会計ガイドライン2005年版」に沿っていますが、ガイドラインに明記されていない部分は当社で設定した前提に基づいて集計しています。
環境保全に向けた取り組み
教育の充実
東ソーでは、定期的に有識者や自治体を招いた講演会を開催するほか、事業所の環境管理担当部署が、製造部門に対する出前教育と連絡会の機会を設け、事例報告、規程類を周知しています。
グループ会社に対しては、「東ソーグループ安環ネット」で環境法令の改正動向、違反事例などの説明会を実施しています。また、法令チェックリストなどによる法令遵守を推進しています。
教育実績項目 | 開催場所 | 内容 | 参加者数 (延べ人数) |
---|---|---|---|
外部講師による 講演会 | 本社 | 環境法令改正動向 | 80 (グループ会社含む) |
四日市事業所 | 伊勢湾のマイクロプラスチック汚染の現状について | 47 | |
教育・研修 | 南陽事業所 | 出前環境教育、製造現場との連絡会 | 1,714 |
EMS内部監査員養成研修 | 42 | ||
環境管理教育 | 161 | ||
四日市事業所 | 出前環境教育 | 52 | |
公害防止管理者リフレッシュ研修 | 5 | ||
EMS内部監査員養成研修 | 1 | ||
社内説明会 | 四日市事業所 | 環境定期連絡会 | 121 |