東ソー株式会社 CSR

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社外取締役メッセージ

社外取締役メッセージ

取締役(社外)阿部 勗阿部 勗

社会に必要不可欠な化学メーカーとして時代を乗り切る

2022年度は、中期経営計画の1年目として大変スムーズなすべり出しだったと思います。2022年3月、桒田社長は就任のあいさつで「天気晴朗なれど波高し」と述べられました。コロナ禍やウクライナ問題といった外部環境はまさに「波高し」という状況で、ひとつ判断を誤れば厳しい一年になる状況にありました。しかし、そうした状況のなか、中期経営計画に沿って順調に事業を進められたことを高く評価しています。もちろん油断することなく、今後もさまざまなリスクに目配りしていかなければなりません。これまでの厳しい状況を乗り越えてきた経験を活かして、着実に中期経営計画2年目を遂行していけるよう、私自身も提言していきます。

化学メーカーである当社にとって、気候変動などは即座に対応し目標を達成することが難しい課題です。常に変化し続ける事業環境の動きを迅速にキャッチし、当社ならではのやり方や工夫を考え、取り組んでいかなければならないと考えています。

当社製品は、日常生活を支えるさまざまな基礎原料や製品などに使われています。それらは持続可能で豊かな社会生活の基盤となっているものばかりです。社会に必要不可欠な企業であるというプライドを持って、今後もさらなる成長を期待しています。

取締役(社外)本坊 吉博本坊 吉博

時代や環境に対応した適切な経営判断を評価

取締役会では、社外取締役や監査役の意見を積極的に求め、会社としての方針を明確に打ち出していくという姿勢が強くなっています。CO₂削減と事業成長を両立させるという目標に加え、ハイブリッド経営の一層の強化といったテーマについて議論が活発化しています。2022年度の取締役会の議論で、強く印象に残っているのは東南アジアで進めてきたクロル・アルカリ事業の海外投資案件を留保したことです。ASEANでの需要伸長が見込まれ、事業を大きく展開するチャンスがある一方、脱炭素への対応も進める必要があります。また、地政学リスクや原燃料価格の高騰など、事業を取り巻く環境の不確定要因が多いことも議論の対象となりました。あらゆるメリット・デメリットを精査した結果、「現時点では留保すべき」という極めて勇気のある強い意志を感じる判断であったと評価しています。

脱炭素の流れはエネルギー多消費産業である化学メーカーには大きな逆風ですが、当社はハイブリッド経営を深化させることによって高機能・高付加価値の事業が業績の底支えをしています。コモディティ事業は原料価格の影響を大きく受けるボラティリティの高い事業ながら社会インフラ構築に必要不可欠です。逆風に耐えきる体力を上流のコモディティ事業で保ちつつ、スペシャリティ事業のさらなる拡大を図る中期経営計画は、シナリオとしては極めて妥当であると確信しています。

取締役(社外)日高 真理子日高 真理子

ステークホルダーの理解を得られる経営計画や情報開示を

中期経営計画および投資に関しては、長期的なリスクと脱炭素との兼ね合いも含めて、担当部署の判断の根拠が十分説明されているか、ステークホルダーの理解が可能かという観点で提言しました。脱炭素に関する取り組みについては、さまざまな分野で必要な投資が計画され多額の予算を承認しました。バイオマス発電、周南市や同業者との協業、NEDOとの共同研究など前向きな取り組みを評価しています。

一方で、当社の事業活動に伴う排出量の削減は、効果が大きいものは時間もかかります。「2030年度までのGHG削減テーマ一覧」のなかには着手済みのものはありますが、中期経営計画の最終年度である2024年度までに終わるテーマではありません。成長と脱炭素を目指すことの難しさでもありますが、ステークホルダーに取り組みを理解してもらうことや、短期的にGHGを削減する方法についても探索を継続してほしいと思います。

また、近年注目されている人的資本などに関する施策や開示についてもアドバイスしています。有価証券報告書に研修関連の戦略が丁寧に記載されている一方で、従業員に関する各種定量情報については補足説明がなく、事実を淡々と記載しています。今後は、ステークホルダーに当社の前向きな取り組みを理解してもらうためにも、さらに実績や目標の背景を説明することなども必要であると考えます。

取締役(社外)中野 幸正中野 幸正

経験を活かし、ガバナンス強化に貢献

このたび、2023年6月に社外取締役に就任いたしました。私は太平洋セメント株式会社で、20年以上にわたって財務や経営企画などの管理部門に従事し、その後、セメント事業部門の営業から全体統括までを担当しました。管理部門においては、グループガバナンスの強化を目的にグループ会社のガバナンスレベルの引き上げに取り組むなど、企業経営の実務に関わってきた経験から、当社でもガバナンス向上に貢献したいと考えています。

当社には8つの事業部門がありますが、コモディティとスペシャリティにバランスよく製品が分散し、事業環境の変化や景気の浮き沈みに対応できる企業体質であると感じています。東ソー発祥の地である南陽事業所の広大な敷地は、アジアの産業を担う拠点として競争力があるだけでなく、地域と共生していくプラントととしても素晴らしく、ますます発展していく力強さを感じます。

今後も持続可能な企業であり続けるためには、気候変動問題への対応など多岐にわたる経営課題に対応しなければなりません。課題に対応するなかでは、さまざまなステークホルダーの皆さまと真摯に向きあい取り組んでいくことが重要です。それぞれの立場の違いから、重視する点は異なりますが、どのようにコミュニケーションを図っていくのが最善かを常に考え、社外取締役の立場から健全な発展に尽力していきたいと思います。