カーボンニュートラルへの挑戦

カーボンニュートラルへの挑戦

気候変動とカーボンニュートラル

記録的な集中豪雨や大気・海水温度の上昇などの気候変動は、大気中の二酸化炭素(CO₂)を中心とした温室効果ガス(Greenhouse Gas : GHG)の増加が原因と言われています。現在の地球の平均気温は産業革命以前(1850年~1900年)に比べて約1℃上昇していますが、このまま特別な対策を講じなければ、2081年~2100年には最大で5.7℃上昇するとの報告もあり、その影響は計り知れません。

発電所や工場で燃焼する化石燃料(石油、石炭など)中の炭素(=カーボン)が大気中の酸素と結合し、CO₂となって排出されますが、ガソリン車の運転などによっても大気中のCO₂は増加します。一方でCO₂を吸収し、固定化する代表例が植物による光合成ですが、最近では人工的に大気中のCO₂を削減する研究開発も行われています。

CO₂をはじめとするGHGの排出と吸収のバランスが均衡した状態をカーボンニュートラル(炭素中立)と表現します。気候変動抑制のため、産業革命以降の気温上昇を1.5℃までに抑えることが国際的な目標として掲げられており、そのためには2050年までにカーボンニュートラルを実現する必要があると報告されています。

気候変動とカーボンニュートラル

世界及び日本のカーボンニュートラルへの取り組み

世界及び日本のカーボンニュートラルへの取り組み
世界の二酸化炭素排出量(2018年)
出典)EDMC/エネルギー・経済統計要覧2021年版

欧州では風力発電などによる積極的な再生可能エネルギーの導入やフランスを中心とした原子力発電の拡充が進み、大半の国がカーボンニュートラルを掲げて世界を牽引しています。アメリカでは、バイデン大統領が2021年の就任直後にトランプ政権下で停止していたカーボンニュートラルに向けた取り組みを再開させました。

先進国を中心とした多くの国は2050年を期限としたカーボンニュートラル宣言を行っていますが、GHG排出量の多い中国やインドは途上国側に立ち、「 CO₂排出削減の責任はこれまで多量のCO₂を排出してきた先進国が負うべき」との主張のもと、中国は2060年、インドは2070年までのカーボンニュートラルを宣言しています。

日本政府は2020年10月に“2050年カーボンニュートラル宣言”を行い、2021年4月には2030年度までのGHG排出削減目標(2013年度比)を26%から46%に引き上げることを発表しました。2030年度におけるエネルギー構成(野心的な見通し)も示されましたが、化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトと並行して、原子力にも依存した計画であり、その実現には課題が残ります。一方でGHG排出削減のための研究・技術開発を国として推進するために補助金など多くの支援策も実行されており、様々な検討が加速しています。

エネルギー基本計画/燃料構成比率(%)

東ソーの『カーボンニュートラルへの挑戦』

現在、東ソーグループでは年間約800万トンのGHGを排出しており、化学メーカーの中で5本の指に入る排出量の多さです。そのような中、GHG排出削減に向けた具体的施策についての協議を重ね、2022年1月に新たな方針を発表しました。新方針の中で東ソーグループは、“2050年に向けたカーボンニュートラルへの挑戦”を掲げ、その途中段階の目標として、“2030年度までに2018年度基準で30%のGHG排出量削減”を表明しました。この目標実現に向け、様々な方面からの挑戦を進めています。 

【挑戦1】 省エネルギーの推進

いかに少ないエネルギーで製品を製造するかは、永遠の技術テーマの1つです。最新の省エネルギー技術の採用や創意工夫の積み重ねによりエネルギー効率を改善し、GHG排出量の削減に繋げます。また、“インターナルカーボンプライシング(社内炭素価格)”を設定し、GHG排出削減の効果を金額に換算して投資判断に考慮することで、省エネ投資の促進を図ります。

【挑戦2】 発電用燃料の転換

現在使用している化石燃料を木材等のバイオマス燃料(燃焼時の GHG 排出量はゼロカウント) に変換する検討も進めていますが、森林破壊を伴った燃料でないことの確認など、その材料選定にも注意が必要です。また、太陽光や風力などの再生可能エネルギーから発電した再エネ電力の購入や、自社での再エネ発電設備の設置も検討します。

【挑戦3】 CO₂分離・回収による有効利用

発電所や製造設備から発生する排ガス中のCO₂を分離・回収し、製品原料の一部として有効利用するための研究開発を進めています。実験室レベルの検討から段階的にスケールアップし、2030年頃までには実際のプラントへの技術導入を目指します。

【挑戦4】 製品・技術の提供を通しての社会貢献

自社の生産活動に伴うGHG排出量の削減だけでなく、省エネルギーに貢献する製品・技術やリサイクル関連技術などの提供を通して、幅広く社会に貢献します。

(例)CO₂回収用アミン吸収液の製造販売及び技術提供

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ニュースリリース

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