PROFILE

1年目は高圧ガスを取り扱うプラントの製造部門に配属され、現場は安全が最優先であることを学ぶ。2年目に設計室へ異動し、以来、既存プラント改造工事や新規プラント建設工事の設計を担当している。

圧倒的なスケール感に魅了され、
ここでなら「大きなモノを作れる」と
確信して、入社を決めました。

東ソーへ入社を決めた理由を教えてください。

「とにかく大きいモノを作りたい」という思いからエンジニアリング業界を中心に就職活動をしていました。そんな中、東ソーを訪問したときに化学会社内に独自のエンジニアリング部門があることを知りました。東ソーの南陽事業所の圧倒的なスケール感に魅了され、ここでなら「大きなモノを作れる」「大きなチャレンジができる」と確信して、入社を決めました。

技術センターとはどのようなものですか? また設計室の役割は?

製造部門や研究開発部門が発案するプラント建設や改造の案件は、弊社のエンジニアリング部門である技術センターによって具現化されていきます。その中で、設計室はプロセス確立後のメカニカル設計を担当しています。建設工事及び設備の良し悪しは図面の段階で決まると言われており、プラント建設には不可欠な部署です。

不可欠な理由を具体的に教えてください。

机上の計算や、ラボスケールでの試作で成立したプロセスであっても、実プラント化する工程で多くの問題が出てきます。設計室はメカニカル的知見をもとに、それらの問題点を抽出し、問題解決への対策を考えて設計をします。また、トラブル無く安定運転できることは当然ですが、運転員が操作しやすい安全な設計も求められます。つまり、設計図面の段階で、あらゆることを想定して、問題なく稼働するよう、理想的なプラントに限りなく近いものにしていく必要があるのです。

理想的なプラントを
納得のいくまで極められるのが、
今の仕事の醍醐味となっています。

現在の仕事は?

現在、「トヨパール」というバイオサイエンス関連製品を製造するプラントの能力増強工事を担当しています。既存プラントの増強工事では、様々な制限があります。新しく設置する機器や配管次第では、既存プラントの運転に問題が生じる可能性もあり、あらゆるケースを想定しながら、現場の状況や現状の運転への影響を考え、設計を進めていかなければなりません。

仕事の難しさや面白さは?

配管1本を設計するにしても、幅広い知識がないと本当に安全な設計はできません。配管はつながれば良いわけではなく、強度、圧力損失、熱膨張、振動、操作性などを考えて設計しています。たかが配管1本だけでも、膨大なインプットが必要であることが難しさです。でも、同時に配管設計の奥深さを突きつめ、とことん学んでいけるのが面白さにもなっています。また、自社内のエンジニアリング部門であるため、コストや納期優先ではなく、安全・安定運転を最優先した設計ができることも、いい面です。過去のトラブル事例や、製造部門のリアルな意見を設計に活かすことができ、理想的なプラントを納得のいくまで極められるのが、今の仕事のやりがいとなっています。

壁を乗り越える挑戦こそが、
技術者としての血となり、骨となり、
本物の知識やノウハウになるのだと思います。

壁にぶつかったことはありますか?

入社3年目のとき、数億単位の建設案件を3件同時に任されたことがあります。とても大きくて分厚く、硬い壁でした。断ることもできたかもしれませんが“成長できるチャンス”と考え、挑戦することにしました。当時の知識と経験だけでクリアできる案件ではありません。かといって分からないことを一人で調べて答えを出す時間もありません。そこで私は、不明点は早めに周りの室員にアドバイスを求めながら設計を進めました。いざ工事が始まると図面に不備があり、設計変更や現場での対応に追われ、四苦八苦の日々を過ごしましたが、なんとか無事完工することができました。あの時期に学んだのは、大きな壁を乗り越える挑戦こそが、技術者としての血となり、骨となり、本物の知識やノウハウになるということです。

今の自分に足りないと感じているものは?

それなりに経験を積み、知識がついてきたので、自分なりの設計ポリシーや設計スタイルが固まってきました。だからこそ上司に図面について指摘されたとき、自分の考えを主張するのですが、ときに言い訳がましくなってしまうことがあります。柔軟な考えが足りないのだと思います。設計に答えは無く、設計者の考えによってできるものは違います。だからこそ独りよがりな設計とならないよう、周りの意見をよく聞き、多角的な視点を取り入れて、なるべく誰もが納得する設計へと導かなければ…といつも肝に銘じています。

学び続ける。プロを目指し続ける。
信頼される存在であり続ける。
この3つの姿勢を崩さず働いていたい。

3年後の自分はどうなっていると思いますか?

入社して6年が経ち、仕事の進め方は身につきました。しかし、プラント設計者としては、まだまだ半人前です。プラント設計は奥が深く、この道20年、30年のベテランでさえ、学ぶ姿勢を持ち続けています。だから3年後の自分も今と変わらず、より多くの経験を積み、より多くの知識を蓄え、謙虚に学び続けているということ。そして設計室の戦力として欠かせないプロフェッショナルを目指し続けているということ。さらには製造部門や工事部門から信頼される存在であり続けようとしていること。この3つの姿勢を崩さず働いていることが、3年後の自分に期待することです。

最後に学生たちへのメッセージをお願いします。

東ソーのビジネスは、世界市場と向き合っており、その規模も大きく、売上も莫大です。それらのビジネスを支えるのが、プラントであり、そのプラントを設計するのが、私たちです。ふと俯瞰してみると、私たちの取り組みのスケールが、いかに大きいかを再認識させられます。そして、その度に大きなやりがいを感じるとともに、大きな責任とプレッシャーを感じるのです。でも、合わせて誇りを感じることもできます。機械屋にとって化学会社はあまり馴染みがないかもしれませんが、実際には機械で溢れています。ぜひ一度、東ソーの工場見学にきてください。そのスケールを実感してみてください。そしていつか一緒に、ビッグビジネスを支えるプラントの設計に挑みましょう。