CHAPTER 01

業界展望

人々の豊かな暮らしと産業を支えながら、
地球環境を保全することが化学産業の使命。

化学産業の歴史は18世紀半ば、産業革命によって需要が増した酸とアルカリの供給に始まりました。約100年前にはアンモニアの合成やポリエチレンの製造など、現在も使われている貴重な化学製品の製造が始まります。日本では1960年代に石油化学コンビナートが生まれ、その後、機能製品や電子材料、医療関連などさまざまな製品がつくられるようになりました。化学産業は、その時代に求められるさまざまな製品の提供を通して、産業界の発展に寄与し、人々の豊かな暮らしに貢献してきました。
現在、日本の製造業の雇用は約1000万人、そのうちの約100万人が化学産業です。製品出荷額は46兆円にのぼり、製造業全体の14%を占めています。このように、化学産業は自動車や電気電子、医薬業界を支える極めて重要な産業となっています。
しかし、化学が人々の暮らしを支える一方で、1960年代には公害問題が発生し、2000年代には地球温暖化解決に向けCO₂削減が大きな課題となっています。現在、日本は年間10億トンのGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)を排出しており、化学産業からは5600万トンが排出されています。人々の暮らしと各種産業を支えながら、将来人々が住みやすい環境を整えていくことが、これからの化学業界に課された使命です。

CHAPTER 02

ビジョン

スペシャリティ、コモディティの両分野で
イノベーションを起こしていく。

生活水準を維持しながら環境にも配慮していくためには、エネルギー、食料、空気、水、医療、情報通信などの分野で、イノベーションが不可欠です。これまでの技術の延長線上では生活水準の維持とGHGの削減は両立できません。東ソーは「スペシャリティ」と「コモディティ」を両軸とする「ハイブリッドカンパニー」として、多種多様な製品群を提供しています。その両方で東ソーは新たな挑戦と創造に取り組んでいきます。
スペシャリティでは、環境エネルギー、ライフサイエンス、電子材料の3分野。環境エネルギーではCO₂の分離回収、ライフサイエンスでは病気の早期診断、身体に優しい測定技術の開発。そして電子材料では低エネルギーで作動する半導体デバイスをターゲットに技術開発に取り組んでいます。
またコモディティ製品も、将来的には化石燃料から再生可能エネルギーを利用した生産へと大きく舵を切っていきたい。そのために、再生可能エネルギーのオプションを広げ、それぞれに適した生産体制にしていくことが必要と考えています。

CHAPTER 03

企業風土

自らハードルを設定し挑戦する自律的人材を
支える文化が東ソーにはある。

私は1984年に東ソーに入社しました。その入社式の訓示を今でも覚えています。「みなさんは会社に入るまで、いろいろなことを学び、試験など多くのハードルを越えてきた。会社ではもう試験はない。目に見える目標もなくなる。会社では自らハードルを作り、飛び越えていかなくてはならない。失敗も含めて、どれほどチャレンジしたかで君たちの将来は変わる」。そんな内容でした。
確かにその通りで、私自身、心がけてきたのは「まずはやってみよう」ということ。経験がないことでも、まずはがむしゃらに取り組んでみる。いくつもの壁にぶつかり、それを乗り越えるために目標、ハードルを設定し試行錯誤する。そのチャレンジの数だけ人は前へ進みます。幸い、東ソーは上司と部下の距離が近く、若い人材にチャレンジさせるという風土が根づいています。
東ソーでは2021年度に人材育成の基本方針として「環境変化に対応するために自身のありたい姿を描き、その実現に向けて、学び・やり抜く意欲を持ち続けられる“自律型人材”を育成する」と示しました。この「自律型人材」とは、「組織内外に限らず、いかなる環境下であっても、自ら仕事や役割を創り・周りを巻き込んで結果を出す人材」であると定義しています。これはTOSOH SPIRITと呼ばれる「挑戦する意欲」「冷たい状況認識」「熱い対応」「持続する意志」「協力と感謝」にも通じるものです。
しかし、これは目新しいものではありません。私が入社した頃にはすでに確立されていた、東ソーの企業文化・風土を明文化したものと言っていいでしょう。
化学産業は今、さまざまなイノベーションを必要としています。その未知なる世界を拓くのは自らハードルを設定し、チャレンジする自律的人材です。東ソーはそのための環境を用意します。ぜひ可能性に満ちた化学の世界でチャレンジを楽しんでいただきたいと思います。