特集1 研究開発担当者座談会

テーマ2:多様な研究開発のシナジー効果をどのように発揮させていくか

東ソーが今後の持続的な成長を考える時には、異なる分野の技術を融合する「シナジー」が重要になると思います。ひとつの研究所ではできない開発も、複数の研究所の技術や知識を組み合わせることで、可能になることもあるのではないでしょうか。開発者として、どのような分野とシナジー効果の創出を考えていますか?

写真:ライフサイエンス研究所 山口 佳奈

北川私はポリマー以外のエレクトロニクス材料に関心があります。スペシャリティ分野の最終製品ではポリマー以外にも有機や無機などのさまざまな材料があり、他材料の動向を知ることは自分の開発する材料の指針にもなります。

陳孫私は逆に、北川さんのFP研が開発した「世界初の超高純度PPG(ポリプロピレングリコール)」が気になっています。ウレタン材料にとってPPGは原料のひとつであり、超高純度PPGを使うことで性能がどう変わるのか。今開発中の塗料は性能面でまだ物足りない部分があり、他の研究所との共同開発で壁を乗り越えたいと考えています。

疋田私は中尾さんの無機材料研究所ゼオライトグループが研究している「放射性物質汚染水処理剤」に興味があります。ゼオライトは環境材料として有用な吸着・分解の機能をもっているため、有機材料との融合で、新しい課題の解決につながる可能性があります。

菊地私はLS研やFP研が使っている「細胞培養連続システム」に関心があります。メディカル容器用途のポリエチレン製品では、容器内面と薬液の相互作用の把握が技術的な課題になることがあります。そういう意味では、LS研が保有する分離・分析技術などが、自分の研究に応用できるのではと思っています。

写真:高分子材料研究所 菊地 元三

早川私は特定の研究分野というよりも、エンドユーザーに関心があります。私の担当する開発品は半導体を構成するため、そのまま最終製品になるわけではありません。そのため市場動向がわかる情報があれば良いと思っています。

松本シナジー効果を出していくのは、複数の事業に横断的に関わる私たち技術センターの使命だと思います。私が今担当している「ビニル・イソシアネート・チェーン」のプロセス改良や、ウレタンプラントでのモノクロロベンゼン(MCB)排出削減対策も、各製造部門と連携して進めています。さまざまな自社技術を集約して、各製造部門へ水平展開できるのが、この仕事の一番の醍醐味です。

疋田研究開発では「専門家」も重要ですが、これからは個々の研究所の枠を超えた共同開発も必要だと思います。例えばIT企業やAIとのコラボレーションにより、全く畑違いの技術をマッチングさせ、新しい技術を提案するのも面白いと思っています。

中尾新たな動きに対応するためには、少なくとも東ソーグループ内にどのような知識や技術があるのか整理した、技術データベースを整備しておくことも必要だと思います

山口これだけ多様な研究部門があり、各々が先端的な研究を行っているので、他の部門の成果を活用しないのは惜しくてなりません。うまく連携できれば、各々の開発効率が上がるのではないでしょうか。

陳孫私としては研究部門の情報だけでなく、営業部門から上がってくる顧客や市場ニーズなどの情報まで含めて、他の事業部の情報を知りたいです。全社の開発、生産、営業が情報を共有していくための場や仕組みがあればと思っています。

中尾全社的な技術情報の可視化、技術的資産の共有化ということですね。ただ、これは情報漏洩のリスクとも関連するので簡単にはいかない面もあります。最先端の研究になればなるほど厳重な情報管理が求められます。知識や技術の整理、体系化と同時に、情報共有や可視化のためのルール整備も同時に進める必要があると思います。

写真:ファンクショナルポリマー研究所 北川 貴裕

北川仮に技術データベースがあったとしても、本当に積極的にそれを活用できるのかという問題もあると思います。お客さまの要求レベルが上がっていくなかで、研究者は常にもてるエネルギーの100%を目前の課題につぎ込んでしまいがちです。それを少しでも、目前の課題から離れて、全体感を見る余裕をもつ必要があると考えています。

早川たしかにそうですよね。AM研の所長も「自分の専門にプラスしてもうひとつ得意分野をもて」といつも言っています。私は今、有機材料系の研究開発に特化していますが、高分子や無機系、あるいはバイオ系なども余裕があれば学びたいと思っています。ですが、なかなか時間が...。

陳孫山口さんのやっている再生医療は、東ソーでも一番新しい分野で、他の研究所からはよくわからないことが多いのではと思いますが、どうですか?

菊地たしかにバイオメディカル系は一歩入ると「ゲノム」といった化学の世界とは全く違う専門用語が飛び交うので、まず言葉がわかりづらいです。

山口逆に私たちもケミカルの専門的な用語が飛び交うとわからなくなるので、同じですよ(笑)。

北川お互いに通じるレベルに噛み砕いて話すという意識が大事だと思います。やはりシナジー効果は、互いが歩み寄らないと生まれてこないと思います。だから、まずは僕たち研究開発担当者の意識改革から始めないと。

写真

テーマ1
SDGsとさまざまな
関わりを持つ
東ソーの研究開発
テーマ2
多様な研究開発の
シナジーをどのように
発揮させていくか
テーマ3
企業メッセージに
寄せる思いと将来の希望
社外からのコメント
ノーベル化学賞受賞 北海道大学 鈴木章名誉教授
参加者プロフィール