特集1 研究開発担当者座談会

テーマ1:SDGsとのさまざまな関わりを持つ東ソーの研究開発

国連が2015年に採択した「SDGs」の達成に向けて、私たち民間企業も主体的な取り組みが期待されています。皆さんの研究開発は持続可能な社会づくりとどのように関わっているのでしょうか?

写真:有機材料研究所 疋田 英樹

疋田私の所属は「有機材料研究所・環境化学グループ」で、やはり環境面での貢献だと思います。SDGsで言うと「3.健康と福祉」「14.海洋保全」「15.陸地の保全」に対応しています。私は有害物質による環境汚染を防ぐ薬剤を開発しています。例えば重金属処理剤はゴミ焼却で発生する飛灰や工場排水に含まれるカドミウムや水銀などの有害重金属を、この処理剤で不溶化することで、環境中への排出を防止できます。

中尾地球環境を守る製品という意味では、私も同じです。疋田さんのところは水や土の汚染防止ですが、私は大気汚染を防ぐための無機材料、具体的に言うと自動車の排ガス中にあるHC(炭化水素)を吸着する自動車排ガス浄化触媒を開発しています。排ガスの大気汚染物質はNOxやSOxがよく知られていますが、このHCも光化学スモッグの原因になる有害物質です。SDGsでは「9.産業の発展」「15.陸地の保全」が関係しています。

写真:無機材料研究所 中尾 圭太

陳孫「環境」は、私たちウレタン研究所のキーワードでもあります。私の所属する「コーティンググループ」では、環境対応型のウレタン系塗料を開発しています。それは従来の有機溶剤系塗料のようなVOC(揮発性有機化合物)揮発がなく、さらには従来の塗料と同レベル以上の高光沢や高硬度、耐酸性・アルカリ性、耐衝撃性などの性能を有する必要があり、開発はなかなか難しいです。私の母国の中国でもVOC規制が強化されているので、画期的な新製品を開発すればビジネスとしても大きな期待がもてる分野です。新製品の開発という意味では、SDGsの「9.産業の発展」や「13.気候変動」に貢献できます。

山口私たち「ライフサイエンス研究所(LS研)」の開発テーマは、ヘルスケアや医療の分野での新しい材料・新技術の創出なので、SDGsの「3.健康と福祉」と一致しています。私自身は再生医療に用いる細胞の品質管理法を研究しており、これまでのキャリアで培ってきた知識や技術に、東ソーの独自技術を融合することで再生医療の発展に貢献する製品の創出を目指しています。

菊地私の所属する「高分子材料研究所」はさまざまなポリマー製品の研究開発を行っていますが、その中で私は点眼薬や輸液製剤などのメディカル容器用ポリエチレンを担当しています。世界中の製薬・医療容器メーカーに、高温滅菌対応や強度とクリーン性向上などにより安全な医療容器を提供しているという意味では、人々の健康に貢献していると思います。これもSDGsでは「3.健康と福祉」に関係しています。

北川「ファンクショナルポリマー研究所(FP研)」も新規ポリマー材料を開発しています。私のテーマはディスプレイに使われる機能性材料「光学ポリマー」の開発です。人々の生活を便利にする、あるいは経済の発展や産業の振興に貢献していると言えます。SDGsでは「9.産業の発展」などに関係します。

写真:ウレタン研究所 陳孫 詩蒙

早川私のいる「アドバンストマテリアル研究所(AM研)」も、エレクトロニクス・エネルギー分野の先端素材を開発しています。研究所内には環境やエネルギーに関連したグループもありますが、私自身は化学蒸着法(CVD)という技術を用いる半導体向け金属薄膜用材料を開発しています。SDGsのどれに貢献するのかと言われると、ちょっと答えにくいですが、半導体はスマートフォンやテレビ、パソコンをはじめ、ありとあらゆる電子機器に使われているので「9.産業の発展」に関係しているのではないでしょうか。

松本私のいる「技術センター」は、研究部門とは性格が違い、エンジニアリング、つまりさまざまな事業部門と連携して、製造プラントの設計や建設を支援する部署です。基本的にエンジニアリングは「省資源」「省エネルギー」「低環境負荷」を使命としており、製造プロセスで出る副成物や廃棄物の削減や有効利用、エネルギー効率の向上、CO2排出量の削減などに関わる技術開発を進めています。そういう意味では、自社の収益性向上と同時に、SDGsでは「13.気候変動」「14.海洋保全」「15.陸地の保全」などに関係していると思います。

菊地化学メーカーの事業は高機能で安全な製品づくりと同時に、原材料や生産プロセス、廃棄などでの環境への影響に配慮することも重要です。特に石油や石炭などの限りある資源を原料とする分野は、3R(リデュース、リユース、リサイクル)による使用量の削減や、製造方法の観点からの技術革新も不可欠だと思います。

中尾たしかに東ソーには石油や石炭などを原燃料とする製品も多く、資源問題とも深く関わっています。私の研究は「ゼオライト」ですが、この原料はシリカ(SiO2)とアルミナ(Al2O3)なので地球上に山ほどあります。3Rの観点で言うと、東ソーでは「生産プロセスで排出されるCO2の削減」から、さらに一歩踏み込んで「CO2を回収して自社で有効利用していく」という目標に向けて全社プロジェクトがスタートしています。

松本実はこのプロジェクトには技術センターも深く関係しており、現在はCO2の回収技術や精製技術を自社プラントに適用していくための検討を進めています。地球温暖化の原因と言われる温室効果ガスの大部分がCO2ですから、これが実現できれば持続可能な社会の実現に大きく貢献できると思っています。

東ソーでは、これまでの会話にも出てきたように下記SDGsの8項目を、研究開発のテーマに取り入れています。

アイコン:SDGs

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テーマ1
SDGsとさまざまな
関わりを持つ
東ソーの研究開発
テーマ2
多様な研究開発の
シナジーをどのように
発揮させていくか
テーマ3
企業メッセージに
寄せる思いと将来の希望
社外からのコメント
ノーベル化学賞受賞 北海道大学 鈴木章名誉教授
参加者プロフィール