02 Challenge

東ソーが向き合うもの

フレキシブルディスプレイ実用化の鍵を握る、
機能材料開発のトップランナーを目指す。

社会の景色を変える可能性を秘めたフレキシブルディスプレイ。
この市場で、東ソーがどのような価値創造に向き合っているかに迫る―

Introduction

次世代ディスプレイの大本命として注目されている有機EL(Electro Luminescence)。その構造は、発光層を正孔輸送層と電子輸送層ではさみ、さらに陰・陽の両電極ではさむというもので、陰極からの電子、陽極からの正孔が発光層で結合して、そのエネルギーにより発光するという原理を利用している。有機ELを採用したディスプレイは、薄型・軽量で、高コントラスト・広視野角・高速応答性に優れる。また、ガラス基板に替えてプラスチック基板上に形成可能な有機トランジスタを用いることで自在に折り曲げられる(フレキシブル)など、従来のものにはない特徴を表現することができる。その可能性の大きさが故、有機EL、有機トランジスタ用材料の開発には以前から多くのメーカーが参入していたが、研究ハードルの高さもあり、現在は世界の有力メーカーのみが実用化に向けての開発競争を繰り広げている。

Answer

東ソーが導いたもの

東ソーは、有機EL用材料として正孔輸送層および電子輸送層という機能層の材料、有機トランジスタ用材料として有機半導体の開発に成功。また、印刷で電子デバイスを作製するプリンテッドエレクトロニクスの領域でも大きな成果をあげ、フレキシブルディスプレイの実現を支える存在として注目されている。現在、材料合成から素子作製、発光評価、そして寿命評価という一連のプロセスの中で、競合を凌駕する機能性の向上を目指して一気に開発スピードをアップ。ディスプレイメーカーへのサンプル提供もグローバル規模で行っている。さらには各メーカーからの要望を受け、機能特性のカスタマイズにも対応。一気に量産化、そして事業化への体制を整える段階まできている。

Start

有機EL材料メーカーの一角へ。プリンテッドエレクトロニクスへのチャレンジ。

80年以上の歴史を持つ東ソーには、有機合成や製造法に関する強い特許が多数存在し、また、独自のアイデアで多様な材料を創出できるノウハウに長けているという特徴があった。

内田:「東ソーは、評価技術に優れ、短期間での量産化も得意としています。このジャンルでは後発ながらも、一気に有機EL材料メーカーの一角に名を連ねる存在になることができたのは、そういった背景があるのです」

福田:「また、既存の成膜技術である真空蒸着法に替えて、インクにした有機半導体材料を基板上で薄膜にして素子を作製するプリンテッドエレクトロニクスの研究にも着手しました。他社にはない東ソー独自の技術アプローチで、プラスチック基板上にも素子をつくれるプリンテッドエレクトロニクスの実現化に向けて塗布型有機半導体材料(有機トランジスタ)の開発を進めてきました」

Profile
内田 直樹(左)
有機材料研究所 有機EL材料グループ
福田 貴(右)
ファンクショナルポリマー研究所 有機電子材料グループ

Challenge

東ソーの優位性、強みをアピールしながら、ディスプレイメーカーからの信頼を着実に高める。

有機ELを使用したディスプレイ、いわゆる次世代ディスプレイと呼ばれているものは、スマートフォンやタブレット、テレビなど様々なパネルへの実用化が進んできている。

内田:「有機ELディスプレイは、発光素子をはじめ、当社が開発する正孔輸送層・電子輸送層などを含めた5種以上の材料で構成されるユニット部品です。実現化に向けては、まず、ディスプレイメーカーが、そのサンプルを各素材メーカーから集めて組み立て完成させます。そしてそれを評価して、各社に課題をフィードバック。再び各社がさらに高機能のサンプルを提供して、評価&フィードバックをする。その繰り返しです。例えば正孔輸送層の場合、どれだけ速く正孔を陽極から発光層へ流せるかがポイントになりますが、我々は開発をスピードアップするための構造シミュレーションの科学計算モデルも持っています。なので、ディスプレイメーカーから投げかけられた課題や要望に対して、分子設計から合成、新サンプル作製までの期間を劇的に短縮できる。これも東ソーの強みになっています」

福田:「印刷で有機トランジスタを試作できる体制を整え、塗布型有機半導体材料の特性を評価解析し、さらに高性能化するための条件も探索しました。そしてディスプレイメーカーの製造プロセスの中で使いやすい処方についても検討を進めています。また、大学との共同研究も行っており、さらには世界中の学会や展示会などでも研究開発成果をアピールしています。東ソー開発の有機半導体は塗布材料として重要な高い溶解度と耐熱性を両立し、強固なπ‐スタッキング構造による高い移動度を示すことから高い評価を得ています。」

And Next

デファクトスタンダードへ。街の風景を一変する、技術革新の主役へ。

有機ELディスプレイの実用化への大きなハードルとして挙げられるのが、寿命と省エネだ。しかし、東ソーでは省エネ&長寿命特性に関わる研究を続け、ここでも大きなアドバンテージを得ているという。

内田:「ディスプレイを効率よく長く発光させるためのカギとなっているのが、東ソーの開発する正孔輸送層および電子輸送層という機能層です。この機能層こそが、我々が次世代ディスプレイの実用化へ向けて鍵を握る立場になるための重要な技術と言えます。今後は、発光素子自体の研究開発にも挑み、主要3層の素子の開発で圧倒的な評価を得て、実用化への主導権を握りたいと思っています。そして、東ソーの提供材料がいずれ世界中で採用され、デファクトスタンダードになること。それが私たちの究極目標です」

福田:「有機トランジスタは、まだ解明されていない領域が多く、だからこそ、この不明領域にはとてつもなく大きな可能性が眠っていると考えられています。分からないことを一つひとつ解明しながら可能性を引き出し、原理原則をおさえ、いかに特性を出していけるかがこれからの“肝”になります。東ソーが目指すのは、世界No.1の有機トランジスタのサプライヤーになること。そして、世界中にフレキシブルディスプレイが普及することで、街の風景が一変する…そんなムーブメントを支える技術革新の主役として、さらなるニーズに応えていきたいですね」

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